【思考を構造化する】考える力を養うためのトレーニング方法①

臨床推論
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みなさん、こんにちは。きんたろーです。

さて、本日お伝えしたい内容は…

臨床現場において、考える力を養うためのトレーニング方法についてです。

主に、以下の項目に当てはまる方向けに発信しておりますので、一つでも心当たりがあった方は是非最後までご覧ください。

・臨床で思考がフリーズし、ぼーっとしてしまう時間がある。

・筋道を立てて考えることが苦手。

・頭の中で情報がごちゃ混ぜになり、思考がまとまらない。

・自分の考え(推論)を上手に伝えることができない。

・症例発表会が苦手

【思考を構造化する】考える力を養うためのトレーニング方法①

考えるときは必ず思考を構造化する癖を

セラピスト
セラピスト

臨床推論を行うときに、考えがうまく整理できない…

セラピスト
セラピスト

症例発表の時などに自分の考えをうまく伝えられない…

これまで、沢山の臨床相談を受けさせていただく中で、こういったお悩みを持つ方に共通することとして、『思考を構造化できていない』という問題があると僕は考えています。

「思考を構造化する」というのは、自分が行なった主張に対して、きちんとその根拠がツリー状に整理されている状態のことを指します。

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逆に、『思考が構造化できていない』人の頭の中はどうなっているかというと、多くの場合こんな感じになっているケースが多いです。

画像2

臨床において、患者様が示す症状というのは多岐にわたります。

が、それら症状を全て拾いまくっていくとどうなるか?

というと、このイラストにもあるように、患者様が示す症状全てが重要そうに見えてきて、その結果どこから手をつけたら良いか分からなくなり思考がパンクしてしまうのです。

きんたろー
きんたろー

なんとなくピンときた方、いらっしゃいませんか?

このように、頭の中が情報でいっぱいになると容易に思考がフリーズしてしまうので、そうならなくて良いように『自分の頭の中の情報をツリー状にまとめてみる』という手続きは、非常に有効であると僕は考えています。

思考を構造化するときの出発点は『テーマ』を明確にすることから

臨床思考力を向上させていくためには、ここまでお伝えしている通り『思考を構造化する』という営みが欠かせません。

じゃあ、具体的にどうやってこれをつくっていくかという話しなんですが、実は最も大切なのが構造化をスタートさせる瞬間です。

つまり、『テーマ決め』の部分です。(イシューと言ったりします)

先ほど示したイラストでいくならば、【問題点は何か?】と書いている部分ですね。

ここをすっ飛ばす、もしくはふわっとさせたまま構造化し始めるとほぼほぼ上手くいきません。

もっというなら、“考えるべきこと”ではなく結局“自分が考えたいことor考えやすいこと”に思考が飛躍してしまうのです。

思考を構造化することの目的は、考えを整理するということはもちろんですが、自分がやりたい臨床ではなく患者様に必要な臨床を行うためでもあります。(バイアスをできる限り排除できるので)

思考を構造化したは良いものの、気づいたら自分の興味あるところ集めになってしまっては意味がありません。

それを防ぐためにも、最初のテーマ決めというのが実はかなり重要になってくるんです。

テーマを決めないと実際どんな問題が起こるのか?

テーマ(イシュー)をふわっとした状態にする、もしくは決めずに思考を展開していくとどうなるか?

最もよくあるケースは、目に付いた情報に飛びついてしまうことです。

画像3

臨床の場面に置き換えてみると…

脳卒中のリハビリテーションを進めていく際に患者様が様々な症状を呈する中、考えるべきことが明確になっていないと、目に付いた最もインパクトのある症状、例えば『半側空間無視』とかですね。

セラピスト
セラピスト

半側空間無視が問題だあああああ!!!

こういった具合で真っ先に飛びついて『問題である』と決め打ちしやすくなるのです。

画像4

もちろん、半側空間無視は臨床上とても重要なファクト(事実)であることに変わりはないのですが、「いま考えるべきことは何か?」というテーマに対する、情報の優先順位が低いのであれば一旦外しておくということも、思考をパンクさせないためには大切ことです。

また、目についた情報に飛びつきやすくなるもう一つの要因としては、『自分の興味関心のある知識』というのがあります。

例えば運動連鎖が好きな人は、ついついその部分が目につきやすかったりします。

運動連鎖に限らず、自分の興味関心のある分野に真っ先に目がいくというのはみなさんも一度は経験があるのではないでしょうか?

きんたろー
きんたろー

ちなみに、僕もあります。

で、ですね。

この『興味関心のある分野に目がいく』ということ自体は決して悪いことではありません。

推論のとっかかりとしてはとても大切なことだったりするからです。

ただし、よくないのはその興味関心のある分野だけに推論を完結させてしまうことです。

いろいろ考えた末に、「やっぱ運動連鎖が問題かも」と結論を出すのであれば良いのですが、最初から結論ありきで真っ先に運動連鎖の問題に飛びつき、そこしか考えないという状態はもはや思考を構造化できていません。

いわゆるこれが確証バイアスというやつですね。

この辺りは、思考を構造化するときのポイントとなるので必ず抑えておきましょう。

前半のまとめ

さて、一旦今日はここまでにしたいと思います。

あまりに多くの情報量を詰め込んでも解釈までに時間がかかってしまうので、この続きはまた次回のコラムに書いていこうと思います。

ここまで読んで内容がしっくりきた方は、ぜひ次回もご覧頂けると嬉しいです(^^)

それでは、ひとまず今日話した部分について簡単にまとめておきます。

・臨床思考力を向上させたいなら、まずは思考を構造化すること。

・思考を構造化できていないと、情報を集めすぎて思考がパンクしやすくなる。

・思考を構造化するときの出発点は『テーマを明確にすること』から。

・テーマを明確にしていないと、インパクトの強い情報自分の興味関心のある分野に飛びつきやすくなる。

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