今回は、座位姿勢における骨盤の角度
についての話です。
皆さん立位と座位
どっちの方が安定しやすいと思いますか?
それは、着目するポイントによって変わってきます。
BOS→立位<座位
省エネルギー→立位<座位
覚醒→立位>座位
大腿寛骨関節→立位>座位
ざっくりと見てみるとこんな感じですね。
今回は一番最後の大腿寛骨関節についての話です!
さて今回のポイントとなるのは、
股関節と骨盤の関係です。
先程述べたように
大腿寛骨関節は座位よりも立位の方が安定するんです。
というよりも
座位で骨盤を直立させるということ自体が股関節だけではできない、ということです。
これがどういうことかというと…
こちらの図をご覧になりながら、読み進めてください。
股関節屈曲はROMで125度とされていますが、
それは解剖学な股関節である大腿寛骨関節のことではありません。
骨盤の後傾と軟部組織に圧迫を伴ってはじめて、125度まで屈曲するということです。
では、大腿寛骨関節は一体何度なのか…
それが「70度」と、言うわけですね。
座位では股関節90度程度をとるため
言い換えると直立座位を取るには
骨盤は常に後方へ20度倒れなければならないということです。
これが座位において、腰椎骨盤リズムが不十分な方、特に脳卒中後の筋緊張低下を伴うケースにおいて、
座位保持が難しい理由ですね。
よくあるパターンとして、
麻痺側の上肢を使おうとしたら後方へ崩れる、といった場面においては、非麻痺側の体幹機能の低下を上肢で代償している可能性が考えられます。
(もちろんその限りではないですが。)
ではこの座位で骨盤を直立位近くまで持って行き安定した姿勢を作ってくれる筋肉とは一体どいつなの?
というと、
多裂筋、最長筋、腸肋筋は腰椎伸展活動に伴う骨盤の前後傾中間位保持にはなくてはならない筋である。
といわれています。
また保持するのには上記の筋肉ですが、
骨盤を起こす、すなわち前傾させるときに特に働くのは…
内腹斜筋の横線維である、と言われています。
え?腹筋…?って思いますよね。
これは内腹斜筋の横線維が仙腸関節をパッキングするように働くことで、他の筋群を活動させやすい状態にするのでは?と考えられています。
また、腰背部の筋肉に加えて、
前面の大腰筋、腸骨筋、大腿直筋の
屈曲作用、後方からの大殿筋などの協働筋の働きが重要であるとも言われています。
主動作筋の活動の低下、筋緊張の低下を見つけられるけど、協働筋の活動に目を向けるのは難しい印象です。
実は、相反する筋肉をしっかりと理解しておくことで、
相反抑制の関係から身体の動きを見ていく必要があります。
これはまた別の記事に…。
最後に、まとめです。
座位では骨盤を中間位にするために上記の持続的な筋活動が求められるため、脳卒中後に神経系の損傷に伴う下行性の神経経路の機能低下が起こることで
・弱化による筋緊張低下
・先行的な筋緊張の準備状態が困難
・随伴的な筋緊張の準備が困難
・筋短縮などによる筋緊張異常
などが生じることで直立座位保持が難しくなります。
しかし私たちのADLを考える上では非常に座位姿勢の獲得は早期に必要になりますよね。
一体なぜできないのか、のまえに座位の特性を知っておかなければ介入できません。
例えば、股関節の角度を調整して70度未満にすることで骨盤直立を容易にするなどの環境設定につながりますよね。(難易度の調整)
今回の知識も持っているか持っていないかで非常に私たちの臨床を変えてくれることは間違いありません。
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