【脳機能】運動プログラムの作られ方

脳機能

運動プログラムの生成について解説します

 

みなさん手をあげてみてください!

と指示するときに、どこをみますか?

  • 可動域はどうかな?
  • 代償はないかな?
  • 筋力はどうかな?
  • 痛みはないかな?

などなどいろいろな観点から動作を分析すると思います。

その際にもう一つ、どうやって運動のプログラムって作られているんだろう?という視点をもってほしいなと思います。

なぜなら、運動は筋肉が収縮し関節が動き動作として出現しますが、その指令を出しているのはあくまで中枢神経系であるからです。

例えば

  • どの筋肉を働かせる?
  • どれくらいの力で?
  • どれくらいの筋緊張で?
  • どれくらいの時間?
  • なんのために?
  • 動いてもバランス崩さないのはなぜ?

などなど脳内で生成される運動プログラムについていろいろ考えておかなければ、運動・動作のエラーの根本的な問題を見ることができないためです。

今回は、

運動プログラムってどのように生成されるのか

について考えていきたいと思います。

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運動プログラム生成の順序

運動プログラム生成について流れをまず理解しましょう。

  1. 身体地図と空間の位置情報の生成
  2. 行動計画の生成(皮質ー小脳、大脳基底核の認知ループ)
  3. 運動プログラムの生成(皮質ー小脳、大脳基底核の運動ループ)
  4. 姿勢制御プログラムの生成
  5. 随意運動の実行

これだけのことが、みなさんが「このペンをとってください!」と指示したときに起こっているんです。

ペンが取れない、となったときに失調があるな、運動麻痺があるなだけでは不十分なんですね。

一体どの流れのところで障害が起こっているのかを考えなければいけないと思いませんか?

身体地図と空間座標の生成

運動や行動以前の話になりますが、自分の体がどうなっているのか、対象物はどこにあるのか(コップや指先の空間における座標)が認識できていなければ、それどころじゃないですよね。

運動は膨大な感覚情報を生成する手段であり、脳損傷ではそれ自体による感覚障害に加えて、運動に基づく感覚情報も生成できない。失う感覚情報が多いと、感覚が生じないだけでなく、自分が今、何処にいるのか?という自己を認知する機能の低下や不安・恐怖などの情動状態の変化も誘発される。(高草木薫.2012)

運動すると、たくさんの感覚が入力されます。それらの情報を処理していくことで精密な運動を可能にしていくプロセスが重要です。

しかし、脳を損傷すると、

  • 自分の体がどうなっているかわからない(内的姿勢モデル)
  • 物体がなんなのかわからない(視覚障害、認知障害)
  • 距離がわからない(空間失認)
  • 手足といった身体の感覚が乏しい(感覚障害)

が起こることが多々あります。

そのような状態では、運動を行うことが難しくなってしまうと考えられるんですね。

その中でもまずは、とっても大事なのが

  • 身体図式
  • 空間認知

というわけです。

これは過去の記事で説明しているので、ここでは割愛します。

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行動計画の生成

身体図式や空間認識ができたのちの話です。

この情報を、脳における決定する部位である「前頭前野」に送り、この運動を行おうかどうかを決めていきます。

その情報を送るのが、「上縦束」だといわれています。

その際に重要なのが、

  • 小脳認知ループ
  • 大脳基底核認知ループ

この2つです。

前頭前野は大脳基底核の尾状核、小脳外側部と認知ループ(Cognitive loop)を構成しています。

この2つ認知ループによってどんな運動を今からしようとしているのかの計画が作られるんですね。

 

ここが障害されてしまうと小脳であれば、小脳性認知情動症候群(CCAS)という代表的な症状が起こると考えられます。

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運動・姿勢制御プログラムの生成

行動企画を生成したのち、目標を達成するために必要な効果器を働かせるためのプログラムを生成します。

このときにも、リアルタイムで時空間的に更新されている身体図式の情報が重要になります。この身体図式が蓄えられているのが後頭頂皮質になります。

このプログラムは、6野の運動前野と補足運動野が大脳基底核、小脳ー視床とループ構造を持ち

  • 巧緻運動プログラム
  • 姿勢制御プログラム

の2つを生成します。

ここでのポイントは、

常にアップデートされた身体図式が、この情報が6野へ情報を提供しているという点

姿勢制御プログラムの実行

運動プログラムを作ったのちに、実行系である一次運動野へ巧緻運動プログラムを伝達します。

その際にもう一つ作られたプログラムがありましたよね。

そうです、姿勢制御プログラムです。

例えば上肢は挙上するときに姿勢制御が働かなかったらどうなるでしょうか?

デッサン人形で考えてみましょう。

神経系もないですし、筋肉も靭帯などもないただの木の塊です。

人間では上肢は全身の約8〜10%の重さがあるといわれています。

その上肢が身体の前に挙上したら当然体には前に回る力がかかります。

すると…

ごくごく当たり前のことですよね!

ではでは、私たちはどうでしょうか?

あらかじめ重心を後方へ移動させ、同時に上肢であれば下腿三頭筋・ハムストリングス三角筋、上腕二頭筋に先行して働きます。

これはあらかじめどんな運動が起こるかを知り、そしてそれが身体にどんな外乱を起こすかを予測することが重要です。

これを予測的姿勢制御といいます。

転ばぬ先の杖としての役割が大きいと考えられています。
この情報は随意運動とは異なり、皮質網様体投射といい脳幹の網様体へ投射します。
そして、メインの四肢の巧緻運動プログラムはどのように伝達されるのでしょうか。
それは、高次運動野から実行系である一次運動野そして、これから起こる運動によって生じるであろう感覚を予測して一次体性感覚野へ投射すると考えられています。

このときには、

随意運動に先行して姿勢制御プログラムが皮質網様体投射によって起こる
ここはしっかりと押さえておきましょう!

随意運動の実行

最後に6野から伝達された、四肢の随意運動プログラム一次体性感覚野からの情報をもとに一次運動野(ブロードマン4野)で実際に実行する運動指令が生成されます。

これを行うのが、外側皮質脊髄路という神経経路です。背外側系や外側運動制御系とも呼ばれます。

これだけのプロセスを踏んで、初めて随意運動が起こってくるんですね。

そして、さらに細かく考えていくと小脳でどんなプログラムに関する情報処理がされて、大脳基底核ではどんな処理がされて、といった話が大事になってきます。

そこまで知らんでもいいじゃん。

と思うところではありますが、目の前の方がどこに問題を抱えているのか、その結果の運動パフォーマンスや認知機能だったりするので、対ヒトである私たちの職業にとって、できる限り可能性を知っておく。

これほど重要なことはありません。

大変ですが、頑張っていきましょう!

最後までありがとうございました

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