今回は、脳卒中後における代表的な徴候である陽性兆候についてお話ししていきます。
陰性徴候としてはこれら6つが挙げられています。
介入アイデアに関してはこちら!
上位運動ニューロン障害の陰性徴候
- 弱化
- 姿勢コントロールの低下
- 低緊張/弛緩
- 疲労
- 巧緻性低下
- 筋と肢節分節の選択的制御の損失
が代表的です。
これらは全て上位運動ニューロン起因の筋緊張の問題に起因している事が考えられますよね。
上肢運動ニューロン障害の陽性徴候
陽性徴候については、
- 痙縮
- 反射亢進
- 病的反射陽性
- 同時収縮
- スパズム
といった筋緊張が亢進した結果出現する症状であると考えられます。
では、このうち痙縮をピックアップして痙縮とは何?について考えていきます。
痙縮って何?
2005年のシステマティックレビューから、痙縮は、非神経性の要因として短縮位のポジショニング、他動運動の介入遅延による不動化によって骨格筋自体の粘弾性低下、筋線維の短縮が起こるもの。
そして、神経性の要因として運動野の萎縮、皮質間抑制の減弱による中枢神経系の変容が組み合わさって筋紡錘の興奮性が増大してしまっているのが問題であると述べられています。
では痙縮ってどうやって判断したら良いのか?
それは深部腱反射の亢進が陽性のサインであると明言しました。
すなわち痙縮と呼ぶためには、腱反射を取る必要があるんですね。
しかしながら、腱反射は全ての筋肉に取ることができるわけではないんです。
ではそのほかの筋肉たちについてはどうやって判断するのか・・・
それが、Modified ashwarth scale(改訂アシュワーススケール)や神経生理学
検査と呼ばれるものです。
しかしながら、体幹筋に関しては、評価ができないので体幹筋の痙縮や筋緊張の亢進はあくまで疑いがあるかもしれない、くらいに留めておく必要があるかもしれません。
ただModified Ashworth Scaleは確実にとれたほうが良いと思いますよ!
痙縮の3つの考え方
次に陽性兆候の一つであり、脳卒中後のとても大きな問題である痙縮についてです。
痙縮に関してはかなり昔から様々な要因が考えられてきました。
1980年にLanceらが定義した、
という考え方です。
動的γ運動神経細胞が過剰に興奮した結果、速度依存的に、入力される固有感覚情報の増大に伴い起こる伸張反射の亢進が目に見える現象として起こってくる部分になってきます。
その後、この伸張反射の亢進がなぜ起こってくるのかについて検証され、
2005年にPandyanらが
であると報告しました。つまり、脊髄の問題だけではなく大脳皮質の感覚運動野の問題があり、α運動ニューロンの興奮性が増大した結果、伸張反射が起こるのではないか?というわけです。
そして、近年2020年にJensらが報告した
という考え方が出てきました。一つ一つ簡単に説明していきます。
他動的伸張に対する抵抗感の増大を遠なう速度依存性の伸張反射の亢進
Lacneらが定義した、他動的伸張に対する抵抗感の増大を伴う速度依存性の伸張反射の亢進についてですが、ジャックナイフ現象というのがとても有名かと思います。
初めは抵抗感があるけど、あとからスッと抜けるといった現象を表したものです。
でも現実的にジャックナイフ現象を見たことある人がどれだけいるのかは疑問です・・・。痙縮には筋自体の問題がありますよね。それに伴う非神経性の要因は関節可動域全体に渡って抵抗感を生み出す可能性があるため、純粋に神経性の要因だけというように定義ができない可能性があります。
そしてこの要因は間違いないことですが、受容器と脊髄の関係性の破綻による脊髄反射の亢進によって痙縮が起こると考えられているように思います。
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