- 麻痺側へ傾く人を、すべて「プッシャー」と呼んでいませんか?
- 結論!見るべきは「傾き」よりも傾きを生む行動です
- なぜ本人は真っすぐに戻されると押し返すのか
- よくある勘違い1:「麻痺側へ傾くならプッシャーです」
- よくある勘違い2:「非麻痺側を使わせなければ止まります」
- 評価ではここを分ける:SCPとBLSをどう使うか
- 臨床で使うなら「一時的に変わる条件」を先に探す
- リハビリで設計すること:座位で終わらせず活動へつなぐ
- 介入研究から言えること:視覚だけに絞らない
- 生活上の注意:家族は力で真っすぐに戻し続けない
- 変化を見るアウトカム:行動、姿勢、生活を三層で追う
- 論文からどこまで言えるか
- Activeまたはぱらゴリ的な見立て
- 最後にもう一度、要点を整理する
- 参考文献
麻痺側へ傾く人を、すべて「プッシャー」と呼んでいませんか?
端座位で麻痺側へ傾く。立ち上がると非麻痺側の手でベッド柵を強く押す。姿勢を正中へ戻そうとすると、かえって押し返される。移乗では麻痺側へ倒れ込みそうになり、介助者が支え続けないと動作が進みません。
脳卒中後の臨床では、このような姿勢制御の問題に出会うことがあります。プッシャー症候群、pusher behavior、contraversive pushing、lateropulsionなど、複数の用語で説明されてきた現象です。本記事では、脳卒中後に麻痺側へ傾き、非麻痺側上下肢で支持面を押し、姿勢修正に抵抗する行動を中心に「lateropulsion」と表記します。
ここで最初に押さえたいのは、麻痺側へ傾いているだけではlateropulsionと判断できないという点です。
体幹筋や下肢筋の活動低下、感覚障害、半側空間無視、失調、疼痛、恐怖、覚醒低下でも身体は傾きます。lateropulsionでは、傾きに加えて、非麻痺側上下肢を伸展・外転して支持面を押し広げる行動や、正中方向への他動的な修正に抵抗する所見が重要です。
若手PT・OTが困りやすいのは、「押しているからプッシャー」と名前をつけたあと、何を評価し、どう課題を組み立てるかです。
この記事では、姿勢の傾き、押す行動、垂直認知、合併する運動・感覚・視空間障害を分け、座位から歩行まで介入をつなぐ考え方を整理します。

結論!見るべきは「傾き」よりも傾きを生む行動です
結論から言うと、lateropulsionでは次の三つをセットで確認します。
- 座位や立位で身体軸が麻痺側へ傾くか
- 非麻痺側上肢や下肢を使って支持面を押すか
- 正中方向へ修正したときに抵抗するか
この三つに加えて、視覚的な垂直の利用、体幹・下肢の支持性、感覚障害、半側空間無視、失語、恐怖、疼痛、覚醒状態を確認します。
lateropulsionは「バランスが悪い人」の言い換えではありません。姿勢の垂直を判断する過程と、非麻痺側上下肢で身体を押す行動が組み合わさった、特徴的な姿勢制御の問題です。
したがって、介入も「真っすぐ座らせる」「麻痺側へ荷重させる」だけでは不十分です。
本人が垂直を確認できる手がかりを用意し、安全に正中へ近づける課題を作り、そこで得た姿勢制御を移乗、立位、ステップ、歩行へつなげます。その都度、押す行動が減ったのか、介助で姿勢を固定しただけなのかを再評価します。
ぱらゴリ的に一言でまとめるなら、正中位を作ることより、本人が正中位を探索して使える条件を設計することが大切です。
なぜ本人は真っすぐに戻されると押し返すのか
lateropulsionの説明では、筋力だけでなく「身体が重力に対してどちらを向いているか」という姿勢の垂直認知が重要です。
Karnathらは、重度のcontraversive pushingを示す脳卒中患者を対象に、身体の垂直感覚と病巣を検討しました。この研究では、身体の垂直を感じる仕組みと、視覚世界の垂直を感じる仕組みが同じではない可能性が示されました。後外側視床やその皮質投射が、身体を重力に対して定位するネットワークに関与すると考えられています。
同研究で詳細に測定された重度例は少数であり、すべてのlateropulsion患者が同じ角度のずれを示すとは言えません。それでも、重度例では、実際には病巣側へ平均約18度傾いた姿勢を「身体が垂直」と感じた一方、視覚的な垂直の判断は比較的保たれていました。
ここで見落としやすいのは、目が見えていることと、身体が垂直だと感じられることは同じではないという点です。
床、壁、ドア枠、鏡の線が垂直だと分かっていても、自分の体幹がその垂直線に合っているかを正確に判断できないことがあります。そのため、介助者が身体を正中へ動かしたとき、本人には倒されるように感じられ、非麻痺側上下肢で押し返す可能性があります。
ただし、垂直認知の研究結果は一様ではありません。病巣、半側空間無視、感覚障害、測定方法によって結果が異なります。垂直認知の障害を一つの検査だけで断定せず、実際の姿勢と手がかりへの反応から仮説を検証する必要があります。
よくある勘違い1:「麻痺側へ傾くならプッシャーです」
麻痺側へ傾く現象には複数の原因があります。
体幹の側方支持が弱ければ、重力に抗して座位を保てません。麻痺側下肢の支持性が低ければ、立位で骨盤が麻痺側へ落ちることがあります。深部感覚が低下していれば、足底荷重や関節位置を確認しにくくなります。半側空間無視があれば、身体や空間の片側への注意が偏ります。小脳・脳幹病変、前庭系の問題、薬剤、低血圧でも傾きは生じます。
これらとlateropulsionを分ける手がかりは、非麻痺側上下肢の使い方と、姿勢修正への反応です。
| 観察される現象 | lateropulsionを疑う所見 | 別の原因も考える所見 |
|---|---|---|
| 座位の傾き | 非麻痺側上肢で座面を押し、麻痺側へ身体を移す | 支えがなく徐々に崩れるが、正中修正を受け入れる |
| 立位の傾き | 非麻痺側下肢を外転・伸展し、身体を麻痺側へ押す | 膝折れ、股関節外転筋活動低下、疼痛で保持できない |
| 修正への反応 | 正中方向への誘導に能動的な抵抗が出る | 介助で正中へ近づくと安定する |
| 視覚手がかり | 壁や鏡の垂直線で姿勢探索が変わることがある | 視覚手がかりでも変わらず、覚醒や理解の影響が大きい |
傾きは結果であり、押す行動と修正抵抗がlateropulsionを見分ける中核です。
よくある勘違い2:「非麻痺側を使わせなければ止まります」
非麻痺側上肢でベッド柵を押しているから、その手を外す。非麻痺側下肢で床を押しているから、その足を浮かせる。
このような対応で一時的に押す力が弱くなることはあります。しかし、支持を急に外すと転倒リスクが高まり、本人の恐怖や抵抗を強める可能性があります。また、外から身体を正中に固定できても、本人が垂直を再探索したとは限りません。
押せないようにすることと、押さなくてよい姿勢制御を獲得することは別です。
臨床では、非麻痺側上肢の支持位置を身体の外側ではなく前方へ調整する、両上肢で安定した対象に触れる、足部の支持基底面を調整する、鏡や壁の垂直線を使うなど、安全を保ちながら押す方向を変えます。
手を外すかどうかではなく、その支持が本人の姿勢探索を助けているのか、麻痺側への押し込みを強めているのかを見ます。
評価ではここを分ける:SCPとBLSをどう使うか
lateropulsionの評価には、Scale for Contraversive Pushing、以下SCPと、Burke Lateropulsion Scale、以下BLSがよく用いられます。
SCPは座位と立位で、三つの要素を評価します。
- 自発的な姿勢の左右非対称
- 非麻痺側上下肢を外転・伸展して支持面を広げる行動
- 傾いた姿勢を正中へ修正するときの抵抗
BLSは、寝返り、座位、立位、移乗、歩行など、より幅広い姿勢と活動でlateropulsionを観察します。重症例だけでなく、座位では目立たないものの移乗や歩行で押す行動が残る例の変化を追いやすい特徴があります。

評価尺度の信頼性と妥当性を検討した研究では、SCP、修正版SCP、BLSはいずれも臨床使用を支持するデータがあります。ただし、尺度ごとに評価する姿勢や診断基準が異なり、同じ患者でも分類が一致しないことがあります。
したがって、点数だけを記録せず、どの姿勢で、どの身体部位を使って、どの方向へ押したかを残すことが重要です。
観察を具体化する六つの質問
- 座位では骨盤、胸郭、頭部のどこから傾き始めるか
- 非麻痺側の手は何を、どの方向へ押しているか
- 非麻痺側下肢は外転・伸展して支持面を広げるか
- 正中へ誘導すると抵抗は増えるか、減るか
- 壁、ドア枠、鏡、縦線を見せると自己修正が起きるか
- 移乗や歩行では押す行動が再び強くなるか
さらに、Fugl-Meyer Assessment、Trunk Impairment Scale、PASS、Berg Balance Scale、感覚検査、視野・半側空間無視の検査、失語や指示理解の確認を組み合わせます。
lateropulsionの点数が下がっても、麻痺側下肢の支持性や移乗能力が自動的に上がるわけではありません。姿勢の垂直、運動機能、活動の三層を分けて追います。
臨床で使うなら「一時的に変わる条件」を先に探す
評価から介入へ進むときは、いきなり反復量を増やさず、短い仮説検証を行います。
たとえば端座位で麻痺側へ傾き、非麻痺側手掌でベッドを強く押しているとします。
まず、非麻痺側上肢の支持面を身体の横から前方へ移します。次に、正面の壁や鏡に垂直線を示し、頭部や胸骨をその線に合わせる課題を試します。さらに、麻痺側坐骨へ体重を乗せることを直接求めるのではなく、正中付近で左右へ小さく探索する課題を行います。
このとき確認したいのは、次の変化です。
- 非麻痺側上肢の押す力が弱くなるか
- 正中方向への抵抗が減るか
- 数秒でも本人が姿勢を保持できるか
- 視覚手がかりを減らしても保持できるか
- 移乗開始時に同じ反応が使えるか
変化がなければ、垂直認知だけに原因を絞りません。覚醒、理解、失語、視野、半側空間無視、疼痛、足底接地、股・膝関節の支持、体幹活動を再確認します。
Activeで重視する8ステップに置き換えると、問題を「麻痺側へ傾く」と定義し、原因候補を並べ、優先順位をつけ、支持面や視覚手がかりで一時的な変化を再現し、必要な能力を分解し、課題を設定し、適切な難易度で反復し、SCPやBLSと活動指標で再評価します。
リハビリで設計すること:座位で終わらせず活動へつなぐ
lateropulsionへの介入は、鏡を見せるだけでは完成しません。鏡は本人が垂直を確認する一つの手がかりであり、目的は生活動作で姿勢を制御することです。

段階1:安全に正中付近を探索する
座位では、両足底が安定する座面高と足部位置を整えます。非麻痺側手で身体の外側を強く押し続ける場合は、前方の台に両上肢を置く、前方リーチを使うなど、押す方向を変えます。
鏡、壁の縦線、ドア枠などを使い、身体と外部の垂直を照合します。セラピストが「真っすぐ」と答えを言い続けるのではなく、本人が見比べて修正する時間を作ります。
大きく麻痺側へ荷重させる前に、正中付近で抵抗なく探索できる範囲を作ることが安全面でも重要です。
段階2:垂直位で手を使い、重心を動かす
数秒の座位保持ができたら、物品操作やリーチを加えます。
- 正面の物を両手で持つ
- 左右の目標へ小さくリーチする
- 骨盤を支持面上でわずかに移動する
- 視覚手がかりを一時的に減らして保持する
ここでは、課題を成功させるために体幹を外から固定しすぎないようにします。必要な介助は使いますが、本人の探索が残る量に調整します。
段階3:立ち上がりと移乗へ一般化する
lateropulsionは静止座位より、立ち上がりや移乗で強く出ることがあります。
足部位置、手の支持位置、移動方向を変え、どの条件で押す行動が増減するかを確認します。立ち上がりでは、前方への重心移動と下肢伸展を分けず、胸骨が前方へ移り、足底荷重が増え、骨盤が持ち上がる流れを作ります。
移乗では、介助者が麻痺側から引き上げるだけでは、本人の正中探索が起こりにくい場合があります。目標面の位置、足部支持、手の置き場所、視線を調整し、どこまで本人が姿勢を制御できるかを確かめます。
段階4:立位、ステップ、歩行で再評価する
立位では、麻痺側下肢の支持性が不足していると、正中へ近づいても膝折れや股関節の崩れが起こります。必要に応じて装具、手すり、免荷、セラピストの介助を使い、まず安全に垂直位を経験できる条件を整えます。
ただし、装具やロボットで立てたことを、そのまま姿勢制御の回復とは判断しません。デバイスを使った条件と外した条件を比べ、押す行動、下肢支持、介助量、歩行能力がどう変わるかを見ます。
姿勢が真っすぐに見えるかではなく、介助を減らしても本人が垂直を保ち、次の動作へ移れるかを確認します。
介入研究から言えること:視覚だけに絞らない
Yangらは、プッシャー症候群を示す脳卒中患者12人を、コンピューターによる対話型視覚フィードバック群7人と鏡による視覚フィードバック群5人に割り付けた、評価者盲検のパイロットRCTを報告しました。両群でSCP、バランス、下肢運動機能に変化がみられ、対話型フィードバック群のSCPとバランスの変化が大きい結果でした。
ただし、対象は12人と少なく、介入の優位性を広く一般化できる段階ではありません。ここから臨床へ持ち込めるのは、視覚フィードバックを受け身で見せるだけでなく、本人が姿勢を調整した結果を即時に確認できる設計が候補になるという点です。
Bergmannらの単盲検RCTでは、亜急性期脳卒中患者38人を無作為化し、割り当てられた介入を受けて解析された30人について、2週間のロボット支援歩行練習と同量の非ロボット理学療法を比較しました。介入直後にプッシャー行動が消失したのはロボット群15人中6人、対照群15人中1人で、2週間後の追跡ではそれぞれ15人中9人と15人中5人でした。
この結果は、垂直位、荷重、反復歩行を一定条件で経験することの可能性を示します。一方で、無作為化後に8人が解析対象から外れており、ロボットがすべての症例に必要だとは言えません。
Anらは、lateropulsionを示す亜急性期脳卒中患者30人を、全身傾斜装置を用いる姿勢練習群15人と一般的な姿勢練習群15人に割り付けました。両群は1回30分を1日2回、週5日、3週間実施しました。BLSの変化は装置群でマイナス5.8点、対照群でマイナス4.2点で、群間差が報告されています。
ここでも両群に変化があり、装置群は高頻度の管理された環境で練習しています。装置そのものを単独の答えにせず、身体を安全に傾け、垂直を探索し、反復し、活動へつなぐという構成を参考にします。
生活上の注意:家族は力で真っすぐに戻し続けない
lateropulsionが強い時期は、ベッドから車椅子、トイレ、着替え、入浴で転倒リスクが高くなります。
家族が身体を力で正中へ戻そうとすると、本人が押し返し、介助者と本人の両方がバランスを崩すことがあります。これは本人が協力していないからとは限りません。本人には、正中方向へ動かされることが不安定に感じられる可能性があります。
生活場面では次を確認します。
- 車椅子のブレーキとフットサポートを毎回確認する
- ベッド柵や手すりの位置が押す行動を強めないかを見る
- 座面高と足底接地を整える
- 移乗方向をスタッフ間で統一する
- 本人が確認しやすい垂直の目印を用意する
- 疲労、覚醒低下、注意の分散で押す行動が増えないかを見る
- 介助方法を家族だけで判断せず、担当PT・OTから実技指導を受ける
「真っすぐにしてください」と繰り返すだけで変わらないときは、理解不足ではなく、本人が使える感覚情報と支持条件が不足している可能性があります。
変化を見るアウトカム:行動、姿勢、生活を三層で追う
lateropulsionの変化は、一つの尺度だけでは捉えきれません。
| 層 | 主なアウトカム | 確認すること |
|---|---|---|
| lateropulsionの行動 | SCP、BLS、Four-Point Pusher Score | 傾き、非麻痺側での押し、修正抵抗、活動中の出現 |
| 姿勢・運動機能 | PASS、Berg Balance Scale、Trunk Impairment Scale、FMA | 座位、立位、体幹、下肢支持 |
| 活動・生活 | 移乗介助量、Functional Ambulation Category、Barthel Index、FIM | 移動、歩行、ADL、退院後の介助 |
毎回すべてを測る必要はありません。SCPまたはBLSを定期的に使い、セッション内では座位保持時間、移乗時の介助量、立位での支持、歩行距離などを追います。
Clarkらの前向き観察研究では、リハビリテーション病棟などへ入院した連続160人の脳卒中患者のうち43人、26.9パーセントにlateropulsionがみられました。BLSとPASSは4週、8週の変化に対して高い反応性を示しました。これは入院リハビリテーション集団の結果であり、すべての脳卒中患者に26.9パーセントという割合を当てはめることはできません。
一方、Abeらが急性期脳卒中患者1660人を対象にSCPで評価した研究では、156人、9.4パーセントにpushing behaviorがみられました。右半球病変では556人中97人、17.4パーセント、左半球病変では599人中57人、9.5パーセントでした。対象施設、病期、重症度、診断基準が異なるため、発生割合には幅があります。
発生率の数字を覚えるより、病期と評価尺度によって拾われ方が変わると理解する方が臨床的です。
論文からどこまで言えるか
Karnathらの病巣・垂直認知研究からは、lateropulsionを筋力低下だけで説明せず、身体の垂直を重力に対して判断する神経機構を考える必要性が示されています。ただし、後外側視床だけが原因とは限りません。皮質病変や広いネットワーク、病巣体積との関連を示す研究もあり、画像所見だけで臨床像を決めることはできません。
SCP、BLS、Four-Point Pusher Scoreの研究からは、lateropulsionを共通言語で記録する利点が示されています。一方、評価姿勢とカットオフが異なるため、尺度間で診断が一致しないことがあります。点数に加えて、具体的な行動を記録する必要があります。
Nolanらのシステマティックレビューでは、lateropulsionを示す人も、示さない人に近い機能的変化と自宅退院の可能性を得られる一方、その到達にはリハビリテーション期間が長くなる傾向が整理されています。レビューに含まれたのは7研究で、観察研究が中心です。個人の回復期間を断定する根拠にはなりません。
lateropulsionがあることは「回復しない」という意味ではなく、姿勢の垂直、合併障害、活動練習を段階的に扱う時間が必要になる可能性を示します。
Activeまたはぱらゴリ的な見立て
lateropulsionを見たとき、最初から「麻痺側へもっと乗せる」とは考えません。
まず、何が起きているかを分けます。
- 本当に麻痺側へ身体軸が傾いているか
- 非麻痺側上下肢で支持面を押しているか
- 正中方向への修正に抵抗するか
- 視覚的な垂直を手がかりとして使えるか
- 麻痺側下肢は正中位で身体を支持できるか
- 感覚障害、半側空間無視、失語、恐怖、疼痛が重なっていないか
次に、支持面、手の位置、足部位置、視覚手がかり、介助方向を一つずつ変え、押す行動が減る条件を探します。
その条件が見つかったら、座位だけで反復しません。立ち上がり、移乗、立位、ステップ、歩行へ少しずつ課題を移し、同じ姿勢制御が使えるかを確かめます。
そして、見た目の正中位と機能的な回復を混同しません。装具や介助で真っすぐ立てても、本人が垂直を判断し、下肢で支持し、次の動作へ進めなければ外部補助による代償が大きい状態です。逆に、わずかな傾きが残っていても、押す行動が減り、安全に移乗や歩行ができれば活動上の意味があります。
評価、条件変更、課題、再評価を短い単位で回すことが、lateropulsionへの臨床推論の中心です。
最後にもう一度、要点を整理する
脳卒中後に麻痺側へ傾く人を見ても、傾きだけでlateropulsionと判断しません。
確認するのは、自発的な姿勢の傾き、非麻痺側上下肢で支持面を押す行動、正中方向への修正抵抗です。さらに、垂直認知、運動機能、感覚、半側空間無視、理解、恐怖、疼痛を分けます。
介入では、本人が使える視覚手がかりと支持条件を探し、安全に正中付近を探索します。その反応を座位から移乗、立位、歩行へつなげ、SCPやBLSだけでなく活動の変化も確認します。
この記事で一番持ち帰ってほしいのは、これです。
lateropulsionは、傾いた姿勢を直すのではなく、押さなくてよい条件を見つけ、本人が垂直を使える課題へつなぐ。
次の臨床では、「どちらへ傾いているか」だけでなく、「どの手足で、何を、どの方向へ押しているか」「正中へ動かしたときに何が起きるか」を一度記録してください。介入の入口が具体的になります。
参考文献
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