【脳機能】視床についてわかりやすく解説

脳機能

視床の神経核についての説明です

 

こんにちは、ぱらゴリです。

みなさん視床って感覚の中継核だよ、と養成校では習ったかと思います。しかしながら体性感覚を中継する働きは視床のごく一部の機能にすぎません

なぜなら、視床にはたくさんの神経核が存在しており、大脳と小脳、大脳と基底核、脊髄と大脳の中継地点としての役割を持っているからです。

今回は、

視床の構造についてできるだけわかりやすく解説

していきます。

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間脳について

視床は、大脳と脳幹の間に位置しています。

そして、「間脳」と呼ばれる灰白質の塊であると言われています。

間脳は、

  • 視床上部
  • 視床
  • 視床下部

から構成されており、第三脳室を取り囲んで存在しているといわれています。

間脳の部位と役割

視床上部は、

  • 手綱・・・嗅覚系と脳幹との連絡など
  • 松果体・・・メラトニンの合成・分泌による、概日リズム(サーカディアンリズム)の調節

に分けられます。

視床は、

各視床核によって役割が異なりますが、代表的なものとして、感覚情報の中継、運動機能調節の補助的な役割をとっています。

視床下部は、

自律神経系の最高位中枢といわれ、この部分の障害によって自律神経障害等の症状を呈する場合もあります。また、内分泌系の中枢、本能行動の中枢ともいわれています。

今回はその中でも視床をピックアップして説明していきます。

視床の位置

まずは視床がどこにあるのか、を知っておかなければ始まりませんね。

視床は、画像で見ると位置がよくわかるかと思います。

だいたいイメージがつきましたか?

視床の神経核を覚える

では次に解剖学的に視床の形を理解して、どこらへんのどの核があるのかを理解していきましょう。

たくさんの核があるので、とても複雑になってきます…。

視床亜核は、

  1. 特殊核(8つ)
  2. 連合核(4つ)
  3. 非特殊核(2つ)

の3つに大別されます。

特殊核

特殊核には、8つの核があり、

  1. 後外側腹側核(Ventral posterior lateral nucleus;VPL)
  2. 後内側腹側核(Ventral posterior medial nucleus;VPM)
  3. 腹側中間核(Ventral intermediate nucleus;Vi.m.)
  4. 外側腹側核(Ventral lateral nucleus;VL)
  5. 前腹側核(Ventral anterior nucleus;VA)
  6. 前核(anterior nucleus;A)
  7. 外側膝状体(lateral geniculate body;LG)
  8. 内側膝状体(medial geniculate body;MG)

連合核

連合核には4つの核があり、

  1. 背外側核(lateral dorsal nucleus;LD)
  2. 後外側核(lateral posterior nucleus;LP)
  3. 視床枕(pulvinar;Pul)
  4. 背内側核(dorsal medial nucleus;DM)

があります。

非特殊核

非特殊核には、2つあり

  1. 髄板内核(intralaminar nucleus;IL)
  2. 網様核(reticular nucleus;RN)

があります。

髄板内核のうち最も大きいのは、

中心内核(central medial nucleus;CM)

といわれています。

運動に関与する核感覚に関与する核その他に大きく分けると、少しだけ理解しやすくなるかもしれません。

運動に関与する核

まずは運動に関与する核からです。

  • 外側腹側核(Ventral lateral nucleus;VL)
  • 前腹側核(Ventral anterior nucleus;VA)

が運動に関与する核といわれています。

VL核とVA核はそれぞれ大脳基底核ループの中でも筋骨格ループと密接に関係しているのです。

またVA核は、筋骨格ループだけではなく、4つのループ全てに関与しています。

VA核が損傷すると、脱抑制の障害がみられ、フットレストを上げずに動き出してしまうなどの症状がみられると考えられます。

VL核は、小脳の歯状核からも入力を受けており運動の協調性を調節する大脳小脳ループのうち、運動ループの重要な経路の一つとなります。

VL核が損傷すると、反対側の運動の協調性に障害を呈したり(運動失調)、筋骨格ループが機能しなくなることにより姿勢筋緊張の調整がうまく行えなくなると考えられています。

結果として、運動のFeedforwardがうまくいかなくなり、今行っている運動に実感が湧きにくく、正解がわからないので同じ運動を繰り返しても中々上達しない、うまくいっている実感が湧かないなどの症状がみられることがあります。

そのため視床のどの部分が損傷しているかを知っておかなければ、アプローチ方法が変わってくるため、予後にも大きく関わってきます。

感覚に関与する核

次は感覚に関与する核です。

  1. 後外側腹側核(Ventral posterior lateral nucleus;VPL)
  2. 後内側腹側核(Ventral posterior medial nucleus;VPM)
  3. 腹側中間核(Ventral intermediate nucleus;Vi.m.)
  4. 外側膝状体(lateral geniculate body;LG)
  5. 内側膝状体(medial geniculate body;MG)

があります。

スライドと一緒に解説していきます!

1.後外側腹側核(Ventral posterior lateral nucleus;VPL)

入力は内側毛帯、脊髄視床路といった体性感覚の上行路から

出力は一次体性感覚野、二次体性感覚野

2.後内側腹側核(Ventral posterior medial nucleus;VPM)

入力は三叉神経核から顔面、頭部の体性感覚や一部味覚

出力は、一次体性感覚野および二次体性感覚野、一部味覚野

3.腹側中間核(Ventral intermediate nucleus;Vi.m.)

Vim核は姿勢の定位に関与します。(空間における四肢体幹の相対関係のコントロール)

入力は、対側の前庭神経核から

出力は、島皮質の後部と考えられています。

その後に視覚や体性感覚とともに前庭皮質(PIVC)で統合されて姿勢制御に関与します。

4.外側膝状体(lateral geniculate body;LG)

外側膝状体LG核は視覚に関与するといわれています。

背側と腹側で少し働きが違うんですね。

背側部からです。

入力は、網膜から視覚情報が、

出力は、一次視覚野の手前にある視放線に出力するといわれています。

腹側部の

入力は、網膜や前庭神経核、小脳核

出力は、中脳上丘、視覚中枢、視床非特殊核などへ

少し複雑になってきますが、ここが損傷すると同名性半盲が起こる可能性があるため注意が必要です。

5.内側膝状体(medial geniculate body;MG)

ここは聴覚と密接に関係している核になります。

入力は、中脳下丘(上丘は視覚経路の一部)

出力は、側頭葉の側頭回といわれています。側頭葉は聴覚のイメージがあるかもしれませんが、一部にすぎません。ほとんどは情動や記憶、視覚経路が主な役割なんですね。

側頭葉と視覚の関係についてはこちらから!
【脳機能】視覚経路について(腹側視覚経路)!新人セラピスト必見!
運動は前頭葉の運動野から出る線維だけで行われる、と思っていないでしょうか。 実は、運動を行うにあたって重要なのが、視覚経路の知識なんです!そこで今回は視覚経路の中でも、腹側視覚経路について!わかりやすく説明していきたいとおもいます。

たくさんありますが、入力と出力の関係だけはしっかりと覚えておくことをお勧めいたします!

その他

あとはその他になりますが、その他がたくさんあって、嫌になってしまうんですよね…。

  1. 前核(anterior nucleus;A)
  2. 背外側核(lateral dorsal nucleus;LD)
  3. 後外側核(lateral posterior nucleus;LP)
  4. 視床枕(pulvinar;Pul)
  5. 背内側核(dorsal medial nucleus;DM)
  6. 髄板内核(intralaminar nucleus;IL)
  7. 網様核(reticular nucleus;RN)

とりあえず、入力と出力の関係と位置をまず学習してみてください。

わかっている範囲での特徴についても記載してあります。

ではスライドと一緒に説明していきますね。

1.前核(anterior nucleus;A)

前核は辺縁系の中でもPapezの回路の一部を担っており「記憶」に関与してきます。

視床出血や梗塞によって、もしかしたら認知機能の低下と捉えられるような記憶に問題が生じてくる可能性を考慮する必要があるのかもしれません。

入力は、乳頭体や海馬

出力は、脳の内側にある帯状回後部といわれています。

この次からは連合核になってきます。

連合核について

連合核は少し今までの核と異なり、神経経路として入力を受けることがメインの働きではなくなり、情報の処理・統合・連合が主たる役割になるため視床の他の角から入力を受けるようになります。

2.背外側核(lateral dorsal nucleus;LD)

LD核はA核と近いですね。記憶に関係する核となっています。

入力は、視床の他の核から

出力は、帯状回後部へ投射し記憶へ関わる役割を担っています。

3.後外側核(lateral posterior nucleus;LP)

LP核はボディスキーマや空間における姿勢の定位に関与します。

入力は、中脳の上丘、一次視覚野、聴覚野、体性感覚野など複数の部位から

出力は、上頭頂小葉や楔前部といった空間情報の統合に関与する部位へ投射されます。

楔前部と姿勢制御についてはこちらから!
【姿勢制御】「楔前部」について簡単に説明!
に視覚と感覚の情報処理を行う楔前部の知識はとても重要です。たちが「立っている」「歩いている」ってなぜわかるのでしょうか。 立てないという現象一つをとっても「傾いてしまう」「膝が折れる」など症状に個別性があります。そしてその世界を理解することで、どんな訓練を行うべきなのか見えてくるのではないでしょうか。

4.視床枕(pulvinar;Pul)

入力は、髄板内核(視床の真ん中にある板状の灰白質)、視床の他の核、中脳の上丘から

出力は、頭頂連合野、後頭連合野、帯状回最後部へ投射し、視覚ー体性感覚、聴覚情報の統合に関与します。また短期記憶に一部貢献していると考えられています。

5.背内側核(dorsal medial nucleus;DM)

Yakovlev回路として、認知機能や情動の抑制、動機付けなどに重要な役割を持ちます。

入力は、他の視床核、淡蒼球、小脳核から

出力は、前頭連合野に広く投射するといわれています。

大脳基底核ループの前頭前野ループ、大脳小脳ループの認知ループの一部で、認知機能にはとても重要な役割を果たしていると考えられています。

次からは非特殊核になります。後の残り少しです!頑張りましょう!笑

非特殊核について

6.髄板内核(intralaminar nucleus;IL)

髄板内核は覚醒が大きな役割となります。

また髄板内核のうち一番大きな核は、

中心内核(central medial nucleus;CM)

といわれています。

入力は体性感覚情報を、

出力は、大脳の広範囲に対して上行性網様体賦活系として働きかけます。

つまり、中脳の網様体と類似した働きといわれたり、延長線と考えられたりしています。

視床出血で覚醒が悪くなり、刺激がないと容易に傾眠してしまうケースは視床の中央にある髄板内核の損傷を疑うこととともに、非麻痺側や麻痺側ともに体性感覚情報をたくさん入力する必要があると考えることが重要です。

つまり、ベッド上での訓練も良いですが、抗重力位をとって積極的に活動していくことが覚醒不良からの離脱につながる可能性があります。

覚醒が不良な原因を考察し、Drをはじめ他職種と協力して脳出血によるものなのか、それとも損傷による影響なのかを加味して、積極的に機能維持とともに意識障害の改善を図る必要がありますね。

7.網様核(reticular nucleus;RN)

RN核は視床の外側を囲うように存在しています。

主な役割は情報の取捨選択であると考えられます。つまり視床出血後に内包への伸展や側脳室の穿破が起こるような出血量であれば、おそらく損傷していることが考えられます。

サッカーでいえばゴールを超えた後から視床だと考えると、ゴールキーパー的な役割があると考えられます(ドヤァ・・・わかりにくい

結果として、情報がとにかく入ってきすぎてしまい処理が追いつかず、結果として問題につながっている可能性もあるということですね。

その場合は、情報量を減らすような介入が必要なのかもしれません。関節の自由度を制限して運動を単純化したり、場合によっては人の少ない環境で訓練を行ったりすることが求められると考えています。

まとめ

お疲れ様です。とりあえずこれで視床の神経核は理解簡単に理解できるレベルになると思います。

しかしながら自分も忘れてしまい、何度も見直しているような内容です。

一度で理解することは、まず難しいと思います。

何度も学び理解していくことで、実際に対象者の方とすり合わせながら、予後を予測したり病状理解、介入効果の検証などに使っていただけるようになると思います。

そして、できる限り、可能性を引き出すためのツールとして脳科学の知識を使っていただければと思います。

最後までありがとうございました。

参考図書

PTジャーナル Vol.52 No.5 2018 特集:視床出血と理学療法


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