こんにちは、ぱらゴリです。
私は理学療法士として急性期〜慢性期までの全ての期間で
脳卒中リハビリテーションをしております。
姿勢制御について、学習する機会はセミナーなどで非常に多く、
姿勢制御について!だけでも歩行や立位、起居動作、ステッピングなどなど…、たくさん企画されていますし絶対に抑えておきたい知識でもあると思っています。
しかし、姿勢制御を理解する上で前提条件として
重力の存在を無視してはいけないですし、そこを抑えている勉強会はあまりない印象です…。
そこで今回は無料オンライン勉強会でも好評だった、
- 重力とは
- 二足直立になった意味(私見含む)、
- 臨床でよく使う「抗重力伸展活動」
を再考できルキかっけになればと思います。
重力とは
重力とは、Gravityの頭文字をとり、Gと表現されることがあります。
地球の中心に、向かっていくように全ての物体に等しく、等しくですよ!重力加速度が9.8メートル毎秒毎秒かかっているわけです。
赤ちゃんにも、大人にも、おじいさんおばあさんにも平等にかかっているわけです。
この重力に対して抗うようなシステムを子供の時から、何度も立ち上がり、転びを繰り返して皆さんは重力に勝って生活しているわけです。
でもこれって意識していないですよね。なぜなら重力に逆らって行動するのは、自律的つまりオートマチックに普段であれば行えてるんです。
特に姿勢をその中で保ったり、歩行なんて意識しないですよね。でも私たちはできているんです。
万有引力とは
重力がそもそも何で必要なのか、を考えておかなければなりません。
それが万有引力です。
全ての物体に共通してかかっている地球の中央に向かって吸い寄せられる力ですね。
これがあるから、ジャンプができますし、ジャンプしても地球の中に止まれるんですよね。
重力がなかったら・・・?
Q .もしも重力がなかったら…?
A .地球から放り出される!
地球にとどまるための力として万有引力があり、それがなければ人間が抗重力位に行動したら速攻で地球から放り出されちゃうんです。
よっぽどのことをしない限りは地球から放り出されるなんてことはないと思うんですが、万有引力がなければ地球外に出ちゃいますよって話です。
重力と二足直立位
重力があるのに、活動するには一見不利に思える、
二足直立位になった理由は一体何なのでしょうか?
手を使うため?物を運ぶため?高いところの物を取るため?遠くを見るため?
運搬説が有力なのかもしれませんが、実際に誰にもわからないわけですよね。
では、あくまで私が一番好きな理由をお伝えします…(参考までに)
二足直立位の理由
重力に対して二足直立位になった理由は、
脳の発達のため、だと思います。
350万年前より脳は3倍も大きくなり、前頭連合野に関しては6倍も大きくなったそうなんです。
頭が重たくなったから、頭を高いところに持っていったんですね。
なぜ頭が重いのに高くするのか
私はわからなかったんです。
なぜ頭が大きいのに頭を高い位置に上げてしまうのか…。
絵を使って考えたらわかりやすいんです!
頭が重たくなった、と先ほどお伝えしましたが、頭が重たいのに四足歩行のような頭部前方突出位をとっていると・・・頭を支えるために、前頭葉の注意機能や運動機能を使わなければならなくなってしまうわけです。
頭を支えるために脳を使うこと自体は、脳の発達のためのためには好ましくないと考えても良いのかもしれませんね。
豆知識(マニア向け)
実際にチンパンジーと比べると、前頭前野は相対的には変わらないサイズとも言われています。
運動野に関しては、チンパンジーの方が比率が高いくらいらしいですよ。
しかし、5感を統合し、概念を生み出す領域である
39・40野の角回・縁上回、44・45野のブローカ、22野のウェルニッケ、前帯状回(32野)は
他者の心を推測したり、それにともなって共感したり、あるいは妬みなどの高次な感情を生み出す、前頭前野(10野)は推論と選択の機能を持ちます。
具体的には、抽象的思考、記憶とプランニング、ルールの学習、適切な行動の開始と不適切な行動の抑制といった環境あるいは自己の体から起こる感覚情報に基づいて、適切な判断と行動を導き出す機能を有しているといわれています。
また、自動的な反応を抑制し、新しい行動を見つけ出す役割を担うと言われているんですね。
二足直立の定義
二足直立位の定義って何なのでしょう。
結論ですが、重心線が股関節の前後を通ることです。ダチョウやカンガルーも二足で歩行したり走行しますが、この生物たちは直立位とは言えないですね。
抗重力伸展活動とは?
ヒトは地球上の空間で生活をしており、この空間において常に重力という力が加わっているとお話ししました。
そして重力に打ち勝って姿勢を保ったり、身体を動かしたりして生活をしています。
この生活は様々な機能的活動の遂行(坐位や立位、歩行など)と言い換えることができ、そこにはしっかり安定した支持面が必要になります。
重力に打ち勝つことは非常に重要で、宇宙飛行士が無重力空間で過ごして地球に帰還し宇宙船から降りようとした際に、両下肢で支えることができず、人に身体を支えられる場面を見かけたことはないでしょうか?
これは重力空間での様々な機能的活動の遂行は、その環境に適応できる筋活動によって達成できていることを物語っているんですね。その支えるという要素は一体何なのでしょうか。
そこで重心や重力、神経、筋肉、関節構造体、皮膚というものが、
姿勢制御を行なっているってわけです。
姿勢制御というものをまず大きく捉えるためには、ここまでの知識があると良いと思っています。
人間の姿勢制御は非常に難しい
人間はどうして二足直立位が取れ、キープできるのでしょうか。神経学的な話をすると内側制御系がほにゃらら的なことになってしまいますが、まずは馴染みの深い解剖学や運動学的な部分のさらに簡単なところから。
図で見てみましょう。
脊柱であれば前弯後弯前弯後弯しています。そして、前面に胸郭がついて、下には骨盤なんて物があるんですね。
人間が直立で立つためにはこの生理的な湾曲や、骨盤がしっかりと直立位をとっていることが大事だという先生もいるくらいですから、大事なんだと思います。
多裂筋や腹横筋、横隔膜、骨盤底筋と言ったコアユニットだったりが腹圧なるもので支えてくれているわけです。
そして、大腿をみてみましょう。大腿骨って特殊で上も下も丸の関節面なんです。めちゃめちゃ滑りそうじゃないですか?
でも、このおかげで足が振り出せたり、衝撃吸収できたりするんです。関節面が丸いということは、不安定じゃないですか?
だから股関節とか膝関節周囲って筋や靭帯が豊富にあるのかなと考えられます。
また内側制御系の話であれば、橋網様体脊髄路が股関節近位部や体幹筋特に伸筋群を制御するんですね。
重心がグラグラした方が前に進むんですよ。でもグラグラなだけじゃ困っちゃいますよね。
だから姿勢を制御するんです。人間でいろんな力にさらされながらもそれをうまく活用して時に制御しながら行動をしているってことを忘れないようにしなければならないです。
まとめ
今回は重力について学んできましたが、
結論なぜ人間は立っていられるのか?
重力があり、そして床半力があるから物理的に安定するんです。
そして二足直立位の条件は、床半力作用線が股関節の前方をとおり重心線上をとおることです。
そして姿勢制御として動揺する重心をしっかりコントロールすることが必要です。
なぜなら人間の骨格は非常に二足直立位では不安定な構造をとっているためです。
基礎の基礎になりますが、これを抑えておくかどうかで大きく学びが深まると思います。
参考図書
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