こんにちは、ぱらゴリです。
私の本業は理学療法士として急性期〜慢性期までの全ての期間で
脳卒中リハビリテーションをしております。
新人のうちは、「どこからアプローチしたらいいのかわからない」「なかなか変化を一緒に作っていけない」「退院間際に慌ててしまう」などなどの悩みがたくさんあると思います。
私自身も、「こんなに評価も治療もできない1単位が先輩たちの1単位の方と同等なわけない…」と悩み続けていました。
今回は、私自身が
を簡単に説明していきます。
はじめに
この画像のような歩行様式をとっている方がいらっしゃるとします。
このひとどうなってる?という質問をバイザーにされたことのある人は多いのではないでしょうか?
そして悩んだ挙句「レポートに書いてきて」なんてことも、何度も何度も私自身は経験しました…。
でも、療法士の間であれば、一言で済みます。
反張膝でっす!
これで済んじゃうんですよね。では、なぜレポートを書いたのでしょうか…?
それは、「反張膝とは結果であって、原因ではない」からです。
では反張膝での立位・歩行とはどういった現象の集合体なのでしょうか。
といった右下肢だけでもこれだけのパターンを想定することができます。
しかし動作を「分析」することにはなりません。あくまでこれは現象を羅列しただけです。
動作分析とは?
注意しておく必要があるのが、ここになります。
よく陥りがちなことですが、このように現象を並べ立てて「結局原因って何だったの!?」となってしまうことです。いまだに自分もよくありますが…。
現象と捉えることはすごく重要なことになります。ただ、一つの現象を、一つだけで解決しようとすると結局問題点にたどりつかない、なんてことになりかねません。
そこで大事にしているのが、「連鎖:chain」という考え方です。
動作分析に大事な連鎖
動作分析をする際に、連鎖の要素を知っておくととても有利になります。
つまり体は一部分だけで完結することはありません。いろんな組織が集まって器官となり、一部分の動きは全体に影響を及ぼすことになります。
ここで3つの大事な連鎖があります。
- 運動の連鎖
- 筋膜の連鎖
- 痛みの連鎖 です。
運動の連鎖は主に関節運動連鎖、筋膜の連鎖はアナトミートレインを代表とする筋膜の繋がり、痛みの連鎖は1、2の結果現れる関連痛やトリガーポイントなどを表しています。
そしてもう一つ大事な考え方があります。
動作分析に必要な収縮様式の違い
筋肉には収縮様式に違いがあるということです。学校で習ったと思いますが、「開放的関節運動連鎖:Open kinetic chain」や「閉鎖的関節運動連鎖:Closed kinetic chain」です。
この違いは、筋肉が収縮する際に末梢が地面や壁についているか(Closed)、離れているか(Open)です。
この違いによってどんなことが起こるのでしょうか。
停止が起始に近づくか、起始が停止に近づくか、これがすごく重要になります。
起立動作時の大腿四頭筋で考えてみましょう。
足部は地面と接しておりClosedの運動ですよね。つまり停止部に向かって大腿四頭筋は収縮する必要があるわけです。大腿四頭筋が弱化しているからと、重錘をつけて膝伸展運動を行うのはOpenの運動になりますよね。
本来学習していかなければならないのは、大腿四頭筋が停止部、つまり膝蓋腱、脛骨粗面に向かって収縮していくような動きを訓練の中では行っていく必要があります。
このように、考えてみると安直に筋力低下をしているからといって、漠然と筋トレを行うだけでは意味がない可能性が出てきます。
できるできないの違いを考える
「上肢を使って起立動作はなんとかできるのに、立位保持ができない」ことがあります。
ではこの違いはなんなのか…、「しっかりたっててくださいね!」と患者さんに丸投げしてませんか?
根性論でなんとかなるものではありませんのでしっかり分析して足りないところを足していく必要があります。
評価の階層性
評価をしていくにあたって、いきなり患者さんの姿勢や動きをみていませんか?
それではセラピスト中心の問題点、治療になってしまいがちです。
私は意識してこのような手順を踏んでいます。
情報収集
まずは情報収集から、
- 事前情報
- 医学的情報
- 望み・Wish
- 必要性・Need
これらについてしっかり情報を収集しましょう。
まずは必ずカルテや問診から「相手のことを知る」ことから初めましょう。
姿勢の評価
そして次に「姿勢の評価」です。
触る前にまずは、観ることからはじめましょう。
- 観察:まずは骨のアライメントから
- 触診:筋肉や骨の状態を触れましょう
- 会話:その人の持つ近くや身体認識について捉えましょう
とても難しいですが、観察したら触れて確認してそれを「相手と共有できる」かどうかは大事です。
なぜなら身体を動かすためには身体がどうなっているかを本人がしらなければなりませんし、不良アライメントなどを本人が自覚できているかも重要になってくるからです。
検証していく
最後に評価から検証を行っていく作業になります。
この時に大事なのは、
- 声かけによる変化
- 筋肉に触れることで起こる筋緊張の操作
- 会話による相手への認識の変化
これらの方法を使って患者さんに変化のチャンスを作り出していくことが重要です。
そしてその後にやっと、「治療方法の選択」という流れになります。
いきなり、神経筋促通や筋トレ、ハンドリングをしていってしまうと、「治療方法に相手をあてはめる」ことになってしまい、セラピスト中心のエゴな治療になってしまいます。
まとめ
最後に常に考えていって欲しいのが、目的とする動作を遂行するために、足りない要素はなんなのか。どうやったら作れるのか。についてです。
それが、神経筋促通であったりボバースコンセプトに基づくものであっても良いと思います。ただ間違えないで欲しいのが、
評価は必ず行って、原因を見つける努力をする。
これは何年目になろうが関係ありません。
自分が実習の時にバイザーに言われた一言があります。
「治療手技に囚われないようにしてください。ただ、患者さんがよくなればそれが一番だよ」と。
あくまでも患者ファーストであることを忘れないようにしていきたいと思っています。
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