【歩行】歩行について!新人理学療法士必見!

歩行

こんにちは、ぱらゴリです。

私の本業は理学療法士として急性期〜慢性期までの全ての期間で

脳卒中リハビリテーションをしております。

歩行について、「簡単に説明」できますか?

近年養成校では、「Perryの歩行分類」で習うことがほとんどです。では、Perryの歩行分類を説明できますか?

学生指導や実際の臨床において理解しておくことはかなり有益なことであると私は考えています。

今回は

「Perryの歩行分類」からみる歩行について

です。

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歩行分類

IC LR MSt TSt PSw ISw MSw TSwに分類されています。

和訳では踵接地から荷重応答期、立脚中期、立脚終期、前遊脚期、遊脚初期、遊脚中期、遊脚終期となっていきます。

ひと昔前には、図のような分類がされていました。

どちらも覚えておくと職場では、話が進みやすいとは思います。実は前の分類の方がシンプルで私は好きです・・・。

では各周期において、どういった運動学的な現象筋肉の活動が起こっているのでしょうか。細かく見ていくと、運動連鎖や足部内在筋など説明しきれないほど多くの現象が起きています。

歩行をみる上では、多くの知識を持っている方が有利になりますが、時に問題点にたどり着くまで遠回りすることにもなる場合があります。

まずシンプルにどういったことが、大関節で起こっているのかを歩行周期ごとに見ていきましょう。

今回は、遊脚期より立脚期を中心に説明してきます。

イニシャルコンタクト(IC)

立脚期の一番初めです。かかとが接地するタイミングですね。ここで大切なのは、足関節が背屈して踵から接地する!ことなんですが、実はそのためにはその前の遊脚期で脱力しないことが重要です。

また、反対の下肢ではどの周期なのか、を考える必要があります。

IC時の反対はTst〜Pswの移行期です。重心が一番低くなるタイミングですが、重心を上に持ち上げる準備期でもあるため、反対側は下腿三頭筋がグッと働きます。

ここでロッカー機構という考え方も知っておくと理解が深まると思います!

【歩行】ロッカー機構って何?新人理学療法士必見!
みなさん「歩行」の専門職として見られますが、「歩行」について運動学的に説明できますか? 歩行の中には様々な要素があり、その中でもPerryさんが提唱した「ロッカー機構(ロッカーファンクション)」という要素が必要不可欠である!と考えられています。簡単にわかりやすく解説していきます!

ローディングレスポンス(LR)

かかと接地後に足関節が底屈し、足底が接地するタイミングになります。この時重要なのが前脛骨筋の遠心性収縮で、下腿が急激に前傾しないようにブレーキの役割を果たしています。

また下腿前傾速度をコントロールすることで、大腿骨の前傾大腿四頭筋がタイミングよく行うことができ、前方への推進力につながります。

また、この期はすごく短く、約0.02秒の間に体重の60%がLR側の下肢にかかるため

  • 前脛骨筋が遠心性収縮できない
  • 大腿四頭筋が遠心性収縮できない

場合には、膝折れや転ばないために反張膝をとる場合があります。ある意味反張膝は、転倒しないための代償手段であり戦略的な姿勢コントロールなのかもしれません。

前脛骨筋、大腿四頭筋が働けているか、ICで踵接地ができているか

しっかりとチェックしましょう。起立動作時に下腿前傾できているか、離殿時に大腿四頭筋が使えるかを見るのも参考になりますよ。

ミッドスタンス(MSt)

MSt

ここでは初めて単脚支持が開始されます。反対の足は遊脚初期〜中期です。

MStは意外と長く、EarlyとLateに分けると考えやすいと思います。

Earlyでは骨盤がまだ足部より後方に位置するため、体を前に進めようと股関節〜大腿の筋肉が主として働きます。

Lateでは下腿三頭筋(特にヒラメ筋)が体が前に倒れすぎないようにブレーキをかける役割を果たします。

反対の下肢が遊脚期ということも念頭に入れておく必要があります。MStは最も重心が高い期であり、それは遊脚側の十分なクリアランス確保のためであると考えられます。

MstのEarlyでは大腿四頭筋や股関節外転筋群が働き、

骨盤が左右に動揺していないか、十分な加速度があるか、骨盤の位置が高い位置にあるかを見ておきましょう。

Lateでは、下腿三頭筋がしっかりと下腿の前傾をブレーキできているか、膝が曲がっていないかをしっかりチェックしましょう。膝折れや反張膝がこのタイミングで起きる場合は下腿三頭筋の出力低下を疑っても良いかもしれません。

ターミナルスタンス(Tst)

Tst

立脚後期で、股関節が伸展し反対の下肢はICを迎えようとしているタイミングです。

ここでは、股関節が十分に伸展し、下腿三頭筋が下腿前傾をブレーキできているかが需要になります。

股関節伸展が起こることで、大腰筋が伸張され腰椎を伸展させます。これにより体幹が抗重力伸展活動をしやすくなると考えられます。

また下腿三頭筋がしっかり働くことで、重心が高い位置でキープできる、蹴り出しの準備ができると考えられます。

大腰筋が伸びることで、ショートニングストレッチサイクルといって「伸ばされた筋肉は強い力でその後縮む」ことができます。これにより大腿骨の屈曲、振り出しが出現します。

しかしクリアランスが確保できなければ足先は引っかかってしまいますが、ここで下腿三頭筋が重心位置を高くし、その後強く蹴り出しをすることで今度は「主動作筋が強く収縮した後は拮抗筋が収縮しやすくなる」ことが考えられます。前脛骨筋が働きやすくなる!ということですね。

ここではしっかりと股関節が伸展できて、下腿三頭筋が働いているかどうか!が重要ですね。

プレスウィング(Psw)

PSw

ここでは足先だけが接地している状態です。前遊脚期ですが、実はまだ立脚期に近い状態です。

反対の足はLRになります。

下腿三頭筋が蹴り出した直後でいよいよ大腰筋が振り出しを実現するタイミングになります。

ここでしっかりと蹴り出せるかどうかが、支持脚のLRで膝折れや反張膝を防げるかどうかにも関わってきます。なぜなら、支持脚は体重の60%を受け取るわけなので、できるだけ慣性や加速度といったような補助があった方が、麻痺などで筋出力が低下した場合には有利ではないでしょうか?

つまり膝折れや反張膝の原因は非麻痺側(効率の悪い側とも表現される)が十分にアクセルとして推進力を作り出せていないことも原因の一つになりうるかもしれないですね。

そしてLRからMstにかけて重心が上がっていくので、Tst〜Pswで前上方に蹴り出しができるかどうかも、遊脚期に足先が引っかからないようにするための重要なポイントでもあります。

運動エネルギーと位置エネルギー

歩行を考える上では、運動エネルギーと位置エネルギーを簡単に理解することでなぜその歩行周期にその筋肉が働く必要があるのか、がわかるかもしれません。

重心が高い位置にあればあるほど、落下して加速するためのエネルギーが溜まります。

そのままエネルギーが落下とともに加速していけば、運動エネルギーとなり坂道を登るための推進力として使うことができます。

つまり歩行はこういった物理的なエネルギーをうまく活用することで、前に進みやすくしているわけです。重心を高い位置に持っていけなければ・・・前に進むのが難しくなりますよね。

つまり体の上をいかに効率よく、前に運ぶか!これが歩行において最重要項目になります。

そのために筋肉や床反力、位置エネルギー、運動エネルギーなどを用いる必要があり、この何処かに過剰な負荷がかかると、効率的な歩行は実現しません。

まとめ

歩行の立脚期についてなんとなく理解していただけたでしょうか。

遊脚期に関してはハンドリングで下肢をコントロールするのが難しい部分になりますが、遊脚期に問題がある!と思っても実際にはその前の立脚期で失敗している可能性が高いと思っています。

問題となるタイミングの前に必ず問題が隠されています。なぜなら歩行は連続した運動によって成立するからです。

運動学の教科書などには筋肉や関節運動など細かく記載してあるためしっかりと学習していきましょう。

その前にこの記事を読んでいただいてから、参考書の勉強に入ると尚理解がしやすいと思います!

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