- 「今日は頭が痛い」を、首こりや疲れだけで終わらせていませんか?
- 結論!最初に「頭痛の原因」を一つへ決めません
- 頭痛は珍しいのか:虚血性脳卒中では研究ごとの差が大きいです
- 出血性脳卒中後にも残りますが、統合値は慎重に読みます
- なぜそう見えるのか:頭痛は損傷部位だけで説明できません
- よくある勘違い1:「脳卒中の後だから後遺症」ですべて説明しません
- よくある勘違い2:「首をほぐして楽になったから首が原因」とは限りません
- よくある勘違い3:「頭痛がある日は何もしない」だけでは生活が狭くなります
- 先に医療評価を優先する場面:予定した練習を続けません
- 評価ではここを分ける:頭痛の一日を時間軸で記録します
- 臨床で使うならこう考える:一度に変える条件は一つです
- リハビリで設計すること:頭痛を消す運動ではなく、必要な活動の条件を整えます
- 自宅や生活で気をつけること:頭痛日誌は診断の代わりではなく共有の道具です
- 変化を見るアウトカム:痛みと生活を別々に測ります
- 論文からどこまで言えるか:頻度は分かっても、介入の答えはまだ乏しいです
- ぱらゴリ的な見立て:痛みより先に「安全」、痛みの後に「参加」を置きます
- 最後にもう一度、要点を整理します
- 参考文献
「今日は頭が痛い」を、首こりや疲れだけで終わらせていませんか?
脳卒中後のリハビリでは、「朝から頭が重い」「歩くと頭痛が強くなる」「光や音がつらくて訓練室へ行けない」「痛み止めを飲むと動ける」という訴えに出会います。運動麻痺や歩行へ注意が向きやすいため、頭痛は付随症状として扱われがちです。
しかし、頭痛には少なくとも二つの見落としがあります。一つは、突然の激しい頭痛、新しい麻痺や失語、意識変化など、通常のリハビリを続ける前に医療評価を優先すべき急変です。もう一つは、緊急性が低くても、光、音、姿勢、睡眠不足、薬剤、活動負荷などが重なり、生活や参加を狭めている持続性頭痛です。
結論は、脳卒中後の頭痛を「急変」「痛みの型」「誘因・併存要因」「活動と参加」の四層に分けることです。
PT・OTが頭痛の診断や処方を決めるのではありません。安全確認を行い、普段との違いを具体化し、医師・看護師・薬剤師へ共有できる情報をそろえます。その上で、症状を無視せず、何の課題をどの条件なら行えるかを設計し、同じ条件で再評価します。

結論!最初に「頭痛の原因」を一つへ決めません
一層目は急変です。突然始まった経験したことのない激痛、新しい顔面・上肢・下肢の脱力やしびれ、失語、視野の変化、意識変化、けいれん、反復する嘔吐などがあれば、その日の通常課題を続けず、院内手順または地域の救急要請基準に従って医療評価を優先します。
二層目は痛みの型です。どこが、どのように、どれくらい、何分または何時間痛むのかを確認します。締めつける、拍動する、刺す、重いという性状、片側か両側か、光・音・吐き気・頸部痛が重なるか、発症前の頭痛と同じかを分けます。
三層目は誘因・併存要因です。薬剤の開始や変更、睡眠、食事と水分、発熱、血圧の普段値からの変化、視覚課題、騒音、姿勢、頸部や肩の痛み、疲労、不安との時間関係を見ます。
四層目は活動と参加です。頭痛があるために歩行、更衣、入浴、読書、画面操作、会話、外出、仕事の何を止めたのかを確認します。痛みの強さが同じでも、生活への影響は人によって異なります。
「脳卒中後に頭痛がある」という一文を、「いつ始まり、普段と何が違い、何をすると変わり、何を止めたか」へ書き換えることが評価の出発点です。
頭痛は珍しいのか:虚血性脳卒中では研究ごとの差が大きいです
虚血性脳卒中後の新規頭痛を調べた系統的レビューでは、50研究を確認し、20研究をメタ解析に採用しました。各研究の頭痛頻度は6%から44%で、不均一性を考慮した統合有病割合は14%、95%信頼区間7%から23%でした。文献1
この14%は「脳梗塞の人の14%に必ず頭痛が起こる」という意味ではありません。研究ごとに頭痛の定義、評価時期、質問方法、対象地域、脳卒中の重症度が異なりました。有病割合には研究間差が大きく、個人の発生確率へそのまま置き換えられません。
2026年にタイの大学病院で行われた横断研究では、急性期虚血性脳卒中153人中35人、23%が国際分類に基づく頭痛に該当しました。多くは軽度で、締めつける性状、両側性または梗塞側、側頭部、間欠的、随伴症状なしという特徴でした。文献4
この結果が示す大事な点は、脳卒中に関連する頭痛が必ず激痛になるわけではないことです。一方で、軽い頭痛なら安全だとも言えません。痛みの強さだけでなく、突然か、普段と違うか、新しい神経症状があるかを先に見ます。
出血性脳卒中後にも残りますが、統合値は慎重に読みます
出血性脳卒中後の頭痛をまとめた2026年の系統的レビュー・メタ解析では、24研究、計4688人が対象でした。統合有病割合は全体46.1%、くも膜下出血58.3%、脳内出血36.1%、3か月を超える持続性頭痛36.7%と報告されました。文献5
ただし、研究間の異質性は非常に高く、全体有病割合の95%予測区間は4.3%から91.8%でした。これは、新しい集団で同じ研究を行った時に結果が大きく変わり得ることを示します。46.1%という一つの数字より、定義と追跡時期がそろっていないという限界を同時に読む必要があります。
くも膜下出血後の単施設研究では、退院時に意識が保たれていた93人のうち38人、41%が平均32.6か月後に負担の大きい頭痛を報告しました。頭痛あり群では、疼痛と健康関連QOLの指標が頭痛なし群より低い結果でした。文献6
自発性脳内出血後146人を追った研究では、頭痛を報告した割合は1年21%、3年19%、6年20%でした。頭痛のある人では抑うつ・不安症状も多く認められましたが、関連から因果の方向は決められません。文献7
運動麻痺が軽く歩ける人でも、頭痛が読書、仕事、外出、対人交流を制約することがあります。機能障害が軽いことと、頭痛による生活負担が小さいことは同じではありません。
なぜそう見えるのか:頭痛は損傷部位だけで説明できません
頭痛は、頭頸部からの感覚入力、三叉神経血管系、髄膜や血管周囲の構造、痛みの調整系、睡眠、気分、薬剤、姿勢、活動環境などが重なって生じる症状です。脳卒中の種類や病変部位と関連する可能性はありますが、一人の頭痛を画像上の部位だけで説明することはできません。
虚血性脳卒中の系統的レビューでは、後方循環領域で頭痛の粗オッズ比が1.92、女性で1.25でした。文献1 初回虚血性脳卒中550人を前向きに調べた研究では、82人、14.9%に発症時頭痛があり、後方循環領域、小脳梗塞、心原性塞栓などとの関連が示されました。文献8
これらは集団の関連です。後方循環領域なら頭痛が起きる、頭痛があれば後方循環領域である、という診断規則ではありません。関連因子を個人の原因へ短絡せず、症状の時間経過と医療情報を合わせます。
慢性期には、発症時の頭痛だけでなく、もともとの片頭痛や緊張型頭痛、薬剤による頭痛、鎮痛薬の使用頻度、頸部・肩の痛み、視覚負荷、睡眠、不安や抑うつなどが重なる可能性があります。どれか一つへ早く決めると、必要な連携先と課題調整を誤ります。
よくある勘違い1:「脳卒中の後だから後遺症」ですべて説明しません
発症から時間が経っていても、新しい頭痛が脳卒中の後遺症とは限りません。再発、出血、感染、頭部外傷、眼科的問題、薬剤、一次性頭痛など、医療評価が必要な原因は複数あります。
PT・OTが原因疾患を決める必要はありません。必要なのは、発症時刻、突然か徐々か、普段との違い、新しい神経症状、発熱、外傷、薬剤、バイタルサイン、課題との関係を記録し、適切な職種へ渡すことです。
「脳卒中後頭痛」というラベルは評価の終点ではなく、急変と別の原因を分けるための入口です。
よくある勘違い2:「首をほぐして楽になったから首が原因」とは限りません
静かな場所で横になる、頸部を支える、呼吸を整える、活動を中断することで頭痛が軽くなる場合があります。しかし、その場で痛みが下がった理由は複数考えられます。視覚や音の刺激が減った、姿勢保持の負担が下がった、不安が軽くなった、時間経過で自然に弱まった可能性もあります。
マッサージや頸部運動の直後に痛みが下がっても、原因が筋緊張だったと確定できません。特に、突然の激痛、新しい神経症状、外傷、強い頸部痛、意識変化がある時に、原因確認より先に強い徒手刺激を行うべきではありません。
一時的な症状軽減は代償や環境調整の効果かもしれず、病態が解消した証拠ではありません。
よくある勘違い3:「頭痛がある日は何もしない」だけでは生活が狭くなります
急変を除外し、医療的な対応方針が決まった後まで、頭痛のたびにすべての活動を中止すると、生活範囲や役割が狭くなる場合があります。一方、痛みを無視して予定量を続ければ、症状悪化や転倒につながる可能性があります。
必要なのは全実施か全中止の二択ではありません。照明、音、画面、姿勢、課題時間、休止、歩行速度、会話量を一つずつ調整し、症状を大きく増やさずに必要な活動を行える条件を探します。
ここで、頭痛が減ったことと運動機能の回復を混同しません。静かな部屋で休んで頭痛が減ったなら、それは症状管理として有用な代償です。頭痛が同じでも更衣を短い休止で完遂できたなら、課題遂行の条件が変わった可能性があります。代償と機能変化を別に記録します。
先に医療評価を優先する場面:予定した練習を続けません
次のような場面では、歩行練習、筋力練習、頸部への徒手介入を続けず、施設の手順に従って医療者へ連絡します。院外で重い症状がある場合は119番への連絡を含む緊急対応を優先します。
- 突然、数秒から数分で強くなる経験したことのない頭痛
- 新しい顔面・上肢・下肢の脱力やしびれ、失語、視野変化、強いふらつき
- 意識がぼんやりする、反応が普段と違う、けいれんがある
- 反復する嘔吐、急な強い頸部痛、発熱と項部の硬さがある
- 転倒や頭部打撲の後に頭痛が強くなる
- 抗凝固薬や抗血小板薬を使用中で、外傷や新しい強い頭痛がある
- 普段から大きく外れた血圧、脈拍、体温と症状が重なる
- 頭痛と同時に歩行、会話、理解、視線、手の操作が急に変わる
くも膜下出血は重篤な病態であり、AHA・ASAの診療ガイドラインも迅速な診断と管理を重視しています。文献9 リハビリ場面の役割は診断ではなく、急変を見過ごさず、必要な医療評価へつなぐことです。

評価ではここを分ける:頭痛の一日を時間軸で記録します
1.普段の頭痛と今回の頭痛を分けます
「頭痛はありますか」だけでは足りません。発症前から頭痛があったか、その時の場所、性状、持続時間、頻度、随伴症状、対処法を聞きます。今回の頭痛が同じか、強さ・場所・性状・頻度のどれが変わったかを確認します。
初回虚血性脳卒中の前向き研究では、発症時頭痛のある82人のうち56%は新しい型、36%は以前と異なる特徴でした。文献8 既往があるから安全、既往がないから脳卒中に起因する、という単純な分け方はできません。
2.頭痛の型を具体化します
次を同じ順番で聞きます。
- 開始時刻と始まり方:突然か徐々か、起床時か活動中か
- 場所:片側、両側、後頭部、側頭部、眼の周囲、頸部
- 性状:締めつける、拍動する、刺す、重い、焼けるような感じ
- 強さ:0から10の数値と、本人の言葉
- 持続:何分、何時間、連続か間欠的か
- 随伴症状:光、音、吐き気、嘔吐、視覚症状、めまい、発熱
- 変化要因:姿勢、運動、咳、いきみ、画面、照明、食事、睡眠、薬
言語障害や認知機能低下がある場合は、表情、閉眼、頭部を押さえる、課題拒否、動作速度、休止の増加も観察します。本人の表出が難しいことと、頭痛が弱いことは同じではありません。
3.バイタルサインと簡潔な神経学的変化を確認します
血圧、脈拍、体温、意識、顔面、上肢・下肢、言語、視野、眼球運動、立位・歩行を、本人の基準状態と比べます。一つの数値だけで安全を判断しません。測定時刻、姿勢、直前の活動、服薬時刻も残します。
頭痛がある時に血圧が高いから血圧が原因、血圧が普段範囲だから安全、とは決められません。痛みや不安で血圧が変わることもあり、血圧変化を伴う別の病態もあります。普段値からの変化と症状の組み合わせを医療者へ伝えます。
4.薬剤の開始・変更・使用頻度を確認します
抗血栓薬、降圧薬、睡眠薬、鎮痛薬などの開始・変更と頭痛の時間関係を確認します。処方薬を自己判断で中断しないことが重要です。
発症3週以内の非心原性虚血性脳卒中またはTIA患者96人を対象にした二重盲検RCTでは、アスピリン・ジピリダモール配合剤の段階導入群と標準導入群で頭痛発生率は同程度でしたが、4週間の累積頭痛は段階導入群で低い結果でした。文献10
これは特定薬剤の導入方法を調べた小規模試験です。一般的な脳卒中後頭痛の治療結果ではありません。それでも、薬剤名、開始日、変更日、服用後の経過を記録し、処方医・薬剤師へ共有する必要性を示す材料になります。
5.頭痛が止めた活動を一つ選びます
「頭痛が生活に影響する」だけでは課題を設計できません。たとえば、朝の洗面で照明がまぶしく中断する、15分の読書で頭痛が強くなる、屋外歩行の騒音で集中できない、入浴後に痛みが増えて着衣が止まる、と具体化します。
頭痛の強さだけでなく、開始までの時間、休止回数、完遂率、介助量、回復時間を測ります。本人が取り戻したい生活行為をアウトカムに入れることで、症状管理が目的だけの介入になりません。
臨床で使うならこう考える:一度に変える条件は一つです
急変が除外され、医療方針が共有されていることを前提に、仮説検証を行います。たとえば読書で頭痛が増えるなら、時間、画面輝度、文字サイズ、姿勢、環境音を一度にすべて変えません。一つだけ変え、頭痛開始までの時間と課題完遂を比べます。
歩行で頭痛が増えるなら、速度、距離、照明、会話、休止、補助具、頸部姿勢を分けます。頭痛だけでなく、ふらつき、視線、呼吸、血圧、疲労、介助量を同時に記録します。
条件を変えて症状が軽くなっても、原因が確定したわけではありません。静かな環境で歩けたなら、音刺激を減らす代償が有効だった可能性があります。同じ環境でも長く歩けるようになったなら、課題耐容性の変化を確認できます。
一時的に楽になった理由と、練習で獲得した能力を別の言葉で記録します。
リハビリで設計すること:頭痛を消す運動ではなく、必要な活動の条件を整えます
脳卒中後頭痛に特化したリハビリ介入のRCTは不足しています。そのため、特定の運動、マッサージ、呼吸法で頭痛が変わると断言できません。医師による原因評価と治療方針を土台に、PT・OTは活動を安全に実施する条件を整えます。
1.環境刺激を調整します
光や音が症状と関係する場合、照明、画面、訓練室の場所、会話量を調整します。刺激を永久に避けることが目的ではありません。症状が大きく増えない範囲で、必要な活動へ戻るための開始条件として使います。
2.課題を短く区切ります
連続20分で頭痛が増えるなら、5分ごとに症状を確認し、短い休止を入れます。総量だけでなく、頭痛開始までの時間、回復時間、翌日への持ち越しを記録します。短く区切って完遂できたことは代償を使った成果であり、連続耐容性が変わったとはまだ言えません。
3.姿勢と視覚条件を確認します
頸部や肩の痛み、同名半盲、眼球運動、半側空間無視、めまいが重なると、読書や移動で頭痛が強くなる可能性があります。姿勢だけで原因を決めず、視線移動、画面、照明、支持面を分けて試します。
4.本人の選択と予測を入れます
課題前に「何分ならできそうか」「どの刺激がつらそうか」を確認し、実施後に予測と結果を比べます。頭痛を我慢できたかではなく、症状を言葉にし、休止や援助を選び、安全に活動を調整できたかを見ます。
5.医療連携の内容を具体化します
「頭痛があります」だけでなく、開始時刻、普段との違い、0から10の強さ、持続時間、神経症状、バイタルサイン、薬剤、活動との関係を伝えます。情報がそろうほど、診察や処方調整につながりやすくなります。

自宅や生活で気をつけること:頭痛日誌は診断の代わりではなく共有の道具です
ご本人・ご家族は、次の項目を短く記録してください。
- 日付と開始時刻
- 突然か徐々か
- 痛む場所と性状
- 0から10の強さ
- 続いた時間
- 光、音、吐き気、めまい、新しい神経症状
- 直前の活動、食事、水分、睡眠、服薬
- 頭痛のために止めた活動
- 休止や処方された薬の後にどう変わったか
市販薬や処方薬を自己判断で増減せず、使用日数も記録して医師・薬剤師へ相談します。抗血栓薬を使用している人は、頭部打撲や新しい強い頭痛を軽く扱いません。
突然の激痛、新しい麻痺や失語、意識変化、けいれん、反復する嘔吐がある場合は、日誌を続けて様子を見る場面ではありません。緊急対応を優先します。
日誌の目的は痛みを細かく監視し続けることではなく、医療者と同じ情報を共有し、必要な生活行為を行える条件を見つけることです。
変化を見るアウトカム:痛みと生活を別々に測ります
アウトカムは一つにまとめません。
- 安全:新しい神経症状、転倒、頭部打撲、訓練中止、緊急受診
- 頭痛:頭痛日数、0から10の強さ、持続時間、発作回数、随伴症状
- 薬剤:服用日数、服用時刻、処方変更、自己中断の有無
- 課題:開始までの時間、完遂率、休止回数、回復時間、介助量
- 活動:更衣、入浴、読書、画面操作、屋外歩行を行えた条件
- 参加:通院、仕事、家族役割、交流、余暇へ参加できた範囲
- 影響:HIT-6など頭痛が生活へ与える影響をみる尺度
虚血性脳卒中後119人を1年追跡した研究では、12人、10.1%が持続性頭痛に該当し、12人中7人は片頭痛様、12人中5人はHIT-6で生活への影響が大きい区分でした。文献2
3年追跡の222人では、26人、12%が持続する新規頭痛を報告し、脳卒中に起因すると事前定義された16人の半数超が中等度以上の痛みで、HIT-6は55点以上でした。文献3
これらは単施設または質問票追跡で、持続性頭痛の該当者数も少ない研究です。しかし、痛みの強さだけでなく、生活への影響を別のアウトカムとして追う必要性を示しています。
論文からどこまで言えるか:頻度は分かっても、介入の答えはまだ乏しいです
現時点の研究から言えるのは、脳卒中の急性期にも慢性期にも頭痛を経験する人がいること、虚血性と出血性で報告値が異なること、緊張型頭痛様や片頭痛様など複数の型があること、生活の質や気分と関連する場合があることです。
一方で、次のことまでは言えません。
- 脳卒中後の頭痛はすべて脳卒中病変が直接の原因である
- 頭痛の場所や性状だけで病変部位や危険性を判断できる
- 軽い頭痛なら急変ではない
- 頸部の筋緊張を下げれば脳卒中後頭痛へ一律に作用する
- 特定の運動、徒手介入、休息法が脳卒中後頭痛に有効である
- 頭痛が減れば運動機能も同じように変化した
特に介入研究は不足しています。薬物療法も一次性頭痛の研究をそのまま脳卒中後へ適用できるとは限りません。薬剤選択は再発予防薬、血圧、出血リスク、併存疾患を踏まえて医師が判断します。
研究の不足を、頭痛を軽視する理由にも、根拠のない介入を行う理由にもしてはいけません。
ぱらゴリ的な見立て:痛みより先に「安全」、痛みの後に「参加」を置きます
臨床で見落としやすいのは、頭痛の強さだけを聞き、0から10が下がったかで終えることです。ぱらゴリ的には、次の順で整理します。
- 本人が困っている生活場面を一文で決めます。
- 突然発症、新しい神経症状、意識変化、外傷、発熱を確認します。
- 普段の頭痛と今回の頭痛の違いを具体化します。
- 痛みの場所、性状、持続、随伴症状を記録します。
- 薬剤、睡眠、視覚、姿勢、活動との時間関係を並べます。
- 医療評価を先にすべきか、課題調整へ進めるかを判断します。
- 条件を一つだけ変え、必要な活動を安全に反復します。
- 頭痛、課題遂行、生活参加を別のアウトカムで再評価します。
この流れなら、「頭痛があったので休んだ」「頭痛が減ったので良かった」という記録から抜け出せます。何を危険と考え、何を仮説に、どの条件を変え、どの生活行為がどう変わったかを説明できます。
最後にもう一度、要点を整理します
- 脳卒中後の頭痛は、急変、痛みの型、誘因・併存要因、活動と参加の四層に分けます。
- 突然の激痛、新しい麻痺・失語、意識変化、けいれんは通常課題より医療評価を優先します。
- 脳卒中後という時間関係だけで、頭痛の原因を脳卒中病変へ限定しません。
- 軽い頭痛でも普段との違いと神経症状を確認し、強い頭痛でも型だけで診断しません。
- 条件調整で頭痛が減ったことと、病態の解消や運動機能の回復は別です。
- 頭痛日数、強さ、持続時間に加え、止めた活動、休止、完遂率、参加を追います。
- 脳卒中後頭痛に特化したリハビリ介入研究は不足しているため、医療評価を土台に個別の課題設計を行います。
参考文献
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