こんにちは、ぱらゴリです。
私の本業は理学療法士として急性期〜慢性期までの全ての期間で
脳卒中リハビリテーションをしております。
みなさん視覚経路について説明できますか?
また、運動は前頭葉の運動野から出る線維だけで行われる、と思っていないでしょうか。
実は、運動を行うにあたって重要なのが、視覚経路の知識なんです!
そこで今回は視覚経路の中でも、
視覚とは?
視覚は後頭葉に入力されて初めて意味を持ちます。
流れは、網膜→中脳視神経→上丘→外側膝状体→視放線→視覚野の流れになります。
網膜からの情報は、外側膝状体を介して上下左右反転した状態で一次視覚野に反映されます。
ここまでは、国家試験レベルでみなさん学校でよく習ったのではないでしょうか。
しかしこのままでは、「映像が目に入った」だけで「理解はできてない」状態になります。
視覚ネットワークによって処理されて初めて見たものに「意味づけ」がされるのです。
視覚経路の中枢は?
視覚経路の中枢はみなさんご存知かとおもいます。
そう、「後頭葉」ですね。
後頭葉の一次視覚野に入力されて後、処理が行われることになります。
しかし視放線や一次視覚野に損傷を受けた場合、同名性半盲や1/4盲になり一部が「見えていない」状態になってしまうのです。
二次視覚野は、一次視覚野からの視覚情報を解釈する働きを持っています。
つまり、見たもの(対象となるもの)の認識に重要な役割を担っていると考えられます。
視覚連合野は、さらに複雑な視覚認識や空間の認識、運動のイメージに関与して「視覚情報処理」の起点となります。
視覚ネットワークとは?
視覚ネットワークは、「背側視覚経路」と「腹側視覚経路」の二つに分かれます。
今回は、下の「腹側視覚経路」について説明をしていきます。
背側視覚経路についても解説しております。
腹側視覚経路とは?
Twitterでも呟いていましたが、「視覚」と聞くと、「後頭葉」ばかりを連想してしまいがちです。
視覚情報を処理しているのは、実際には「側頭葉」や「頭頂葉」なのです。
特に「腹側視覚経路」は「側頭葉」が重要な役割を果たしています。
役割
腹側視覚経路の役割は、色彩・顔貌・文字・幾何学模様や街並などの情景といった視覚情報を、「意識にのぼるかたち」で処理する事です。
といってもよくわからないですよね。
腹側視覚経路における側頭葉の役割は
「それが何か(What?)」の意味づけをする事です。
つまり、物体の色や形を記憶から処理して、それが何かわかるのは腹側視覚経路のおかげなのです。
特に左脳は言語的に、右脳はそのものが今置かれている環境に対して対象物が持つ意味について理解をしているといわれています。
経路
腹側視覚経路は一次視覚野→二次視覚野→視覚連合野(V4)で処理されたのち、
下側頭回の後頭側頭連合皮質(PIT野)からAIT野に投射され、側頭極や辺縁系に投射するといわれています。
「海馬」に投射される事で「記憶」からそれがどんな意味を持つものか理解することを可能にしています。
また側頭極から鉤状束を通り前頭連合野に投射されることで感情などの処理や、物の形に合わせて何かをするなどの「判断」がされると考えられています。
まとめ
リーチングや物品操作を行うにあたって、視覚経路は重要な役割を持っています。
なぜなら、形態認知(What?)や物体に対する感情の処理、そもそも対象物が何かを瞬時に理解するには記憶が不可欠であるからです。
意味づけをするためには、記憶や辺縁系といった要素が重要になり、それがあって初めて動作が行われると考えられます。
人は感情によって動いているといっても過言ではありません。その感覚の引き金の一部を視覚が担っており、腹側視覚経路は重要な役割を果たしているわけです。
課題を行う前に、一度その物品が患者さんにとって「意味があるもの」なのか、「目的はなんなのか」が理解できているかどうかを評価する事も重要であると考えられますね!
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