いつもありがとうございます。
理学療法士のぱらゴリです。(重要
みなさんが臨床において、脳卒中の方を担当しました。
さて、一番初めに行う評価ってなんですか?
運動麻痺の評価?
感覚障害の評価?
運動失調の評価?
いろいろ評価はありますが、
みなさんまず「運動から見ようとしている」傾向にあるのではないでしょうか?
もちろん運動をみることは、とっても大事なことですし、限られた時間の中で訓練内容を決めるために、何よりも先に運動がみたい!という気持ちはよくわかります・・・!!
しかしながら理解しておかなければならないことがあります。
それは、
ほとんどの評価が患者さんの協力が必要である
ということです。
つまり、協力や意欲がなければ、正しい評価結果を得ることができない、ってことになりますよね。
どうでしょう、思い返すと脳卒中になった患者さんは、
- 意識がぼんやりしている
- 失語症や構音障害がある
- 高次脳機能障害があり意欲低下や理解の低下が起こっている
などなどの症状が一見みられる方が多いのではないでしょうか?
そんな時に、患者さんの協力って得られるでしょうか。
評価がうまくいかなかったり、正しい結果が得られないために、問題点の抽出や介入に難渋する…なんていう経験がだれしもあるのでは!?(自分だけじゃないはず!!
そこで今回は、何よりも一番大事な評価である
意識ってなに?
脳の働きが活性化し、五感に対する刺激を感じとることが可能な状態、といわれています。
よくつかう「意識がある」という状態は、脳が刺激を認識できる状態で、入力された刺激に対して明確に対応できる状態のことを表現します。
つまり意識にのぼる感覚を処理するわけなので、
大脳へ入力されて処理ができる状態を意識と表現するわけですね。
意識障害とは?
では、意識障害とはなんなのでしょうか。
それは、外界の状況を認識できていない状態のことをいいます。
注意や理解、見当識、思考などの精神活動が十分に保持されている状態にあれば意識があると表現するわけなので、
これらの機能になんらかの破綻をきたした状態であると考えられます。
意識障害の評価方法
意識障害は、
- 覚醒
- 意識変容
の2つに大別されています。
そして、2つを評価するために簡易的な評価方法として、
- JCS(Japan Coma Scale)
- GCS(Glasgow Coma Scale)
の2種類があります。
どちらも評価する必要があります。
なぜなら、みている視点が異なるためです。
評価の内容について説明していく中で、どういう意味なのかがわかってくると思います。
JCS(Japan Coma Scale)
JCSはI桁、Ⅱ桁、Ⅲ桁と表現されます。その中で3段階に分かれている評価となります。
日本でよく使われている評価方法です。
この評価は、
- 覚醒している(覚醒の質を見当識の評価で見ている)
- 刺激すると覚醒する(どれくらいの刺激で覚醒するか深さをみている)
- 刺激しても覚醒しない(痛み刺激が大脳に入力されているか)
をみています。
開眼をしていない状態だが、簡単な従命に応じる場合はJCS20と表現します。
GCS(Glasgow Coma Scale)
国際的に使用されているのが、GCSです。
- E:開眼の有無
- V:言語による応答
- M:運動による最良の応答
を評価しています。そしてその合計点をみます。
最大GCS15点で、E4V5M6と表現します
Vの項目ですが、気管切開や挿管をしている場合は、VTと表現します。
GCSは合計点を評価すると述べましたが、同じ合計点でも障害の質が異なるという点に注意が必要です。
失語があったり、開眼できないけど従命が可能な場合で大きく質が異なってきます。
JCSとGCSの両方を用いて、適切に意識障害の内容と質について評価することが大事ですね。
そうでなければ、相手が意識障害があるのか、失語や構音障害によって表現ができない、質問の意図が理解できない結果なのか、がわからないですよね。
評価の点数だけではなく、内容から評価した結果の質についても考える必要がありそうですね!
意識障害の分類
次に、
意識障害の分類について説明していきたいと思います。
意識障害には、覚醒と意識変容の2つを考える必要があると述べました。
覚醒度には、
- 傾眠
- 昏迷
- 半昏睡
- 昏睡
の4分類があり、
意識変容は、
- せん妄
- もうろう状態
- その他
に分類されます。
意識障害とひとことで片付けることはできない、ということがわかりますね。
これらの分類によって、緊急度について評価することもできますし、介入によって変化する可能性があるものなのかも考察することができるようになると思います!
運動麻痺の評価(意識レベルに左右されにくい)
意識レベルが低い方は、主に脳卒中に多いとおもいます。
次項で、意識障害が起こる脳部位について説明しますが、ここでは簡単な運動麻痺の評価方法についても述べておきたいと思います。
意識レベルが低下し、もうろうとしていても非麻痺側は膝立位にセッティングすることで保持できる方が多いと思います。
それは意識にのぼらない感覚、つまり小脳から脳幹を介して姿勢筋緊張をコントロールする神経経路の役割が考えられます。
そこで役に立つのが、膝落下試験です。両側を膝立て位にセッティングして反応を見ます。
運動麻痺がある側は保持できず外転、外旋し落下すると思います。
簡易ですが、麻痺側の特定や麻痺の程度について、意識にのぼらない感覚を評価する際に使用できるかと思います。
運動機能検査には、どうしても協力が必要になってしまいますが、意識障害があって協力が乏しくても評価できる方法を持っておくことは、とっても大事なことだと思います。
筋緊張を評価する腱反射やMASも協力が必要ないので、意識レベルが低下していても正しい評価が取れるということも覚えておきましょう!
意識障害と覚醒のメカニズム
最後にどこの障害によって意識レベルが低下するのか、について説明していきます。
図解するとこうなります。
- 大脳皮質の広範囲な障害
- 上行性網様体賦活系
- 上記の両方
- 心因性
が考えられます。
大脳皮質の広範囲な障害
なぜ大脳皮質の広範囲な障害で意識障害がおこるのでしょうか?
上行性網様体賦活系
上行性網様体賦活系とは一体何なのでしょうか?
それは、網様体ー視床、視床下部から大脳皮質へ興奮性の刺激を送り、神経活動を高めて大脳皮質に活力を与え維持する経路のことです。
ではどんな刺激を元に、網様体は視床や視床下部へ大脳を賦活する指示をおくるのでしょうか?
それは、
脊髄視床路など、身体各部からの感覚神経の入力が脳幹を上行する際に、一部は覚醒を司るといわれる脳幹網様体に伝えられます。
つまり感覚が入力されるほどに、覚醒は向上する傾向にあるということですね!
まとめ
臨床において、意識障害をもった方は非常に大勢いらっしゃいます。
急性期には特に多いですが、維持期や慢性期になっても意識障害が残る方がいらっしゃいます。
そんな方に対して、ベッド上でROMやポジショニングだけでは決して覚醒は改善しません。
なぜなら、感覚入力を元に覚醒を司る納棺網様体は、上行性網様体賦活系を通して、意識を司る大脳皮質を賦活するといわれているためです。
特に車椅子乗車や立位保持訓練やチルトテーブルなどを使って、ただ抗重力位をとることはあまり効果が期待できません。
なぜなら動作を行う方が、関節が動き筋が働き、視界は変化し身体に当たる風や頭が動くことで入力する前庭感覚などなど、たくさんの感覚が入力されるわけですよね。
ですので、積極的に起立ー歩行訓練やアクティビティなどを用いて、脳幹網様体へ入力し、上行性網様体系を賦活することが、意識障害の解決への最も重要なプロセスではないでしょうか?
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