こんにちは、ぱらゴリです。
私は理学療法士として急性期〜慢性期までの全ての期間で
脳卒中リハビリテーションをしております。
皆さんは運動する際には、何を基準に動作を起こしているか考えたことがありますか?
運動前野と小脳で運動プログラムが生成されて、実行されて、フィードバックされて姿勢修正して…の繰り返しなんだな…と、私自身理解している時期がありました。
しかし、動くにしても基準となるものがなければ、どうやって動けばいいのか、どうなったらその動きは正解なのか…、わからないと思うんです。
皆さんは
そこで今回は、知っておくべき知識の一つとして、
身体図式とは
身体図式とは「Body schema」や「身体スキーマ」と表現されることが多い「生理的概念」になります。
具体的には、
自己の身体を認知する仕組みは、我行動を発言するための基盤である。我々が特定の環境下で運動を発現するためには、その空間内における自身の身体位置や体幹・手足の姿勢をリアルタイムに認知していなければならない。平衡感覚、体性感覚、視覚、聴覚などの信号は体幹や上下肢の位置情報を時々刻々と脳に刻んでおり、脳の中では、身体が体表モデルと連携した内的姿勢モデルとして構成される。これを身体図式(Body schema)と呼ぶ。
高草木薫「大脳皮質・脳幹ー脊髄による姿勢と歩行の制御機構」脊髄外科(2013.12)27巻3号:208〜215
どこで作られるか
身体図式はどこで作られるのでしょうか。
それは、頭頂葉であると考えられています。特に、全ての感覚の情報が集まる側頭頭頂皮質で生成されています。
頭頂葉は
- 上頭頂小葉
- 下頭頂小葉
に分けられ、それぞれで機能が異なります。
体性感覚野と隣接する上頭頂小葉は、ブロードマンの脳地図では5野、7野に相当する部位で、
体性感覚を元に身体各部位情報を統合します。
特に単関節運動ではなく、肘や手関節、手関節などの2つ以上の関節が動いた際に強く反応すると言われており、「関節・皮膚組み合わせニューロン」なるものが存在しているといわれています。
一方、体性感覚野のみならず視覚野や聴覚野と隣接する下頭頂小葉は、ブロードマンの脳地図では、39、40野に相当する部位で、
体性感覚に加え、視覚や聴覚などの多種感覚に基づく自己の身体像を生成します。
視覚や聴覚、体性感覚などの異なった感覚モダリティの情報統合を行なっているため、ここが「バランスの崩れを認知」していたり、「身体イメージの基盤」になるとも考えられています。
構成要素は?
身体図式の生成に必要な構成要素は、
- 体性感覚
- 視覚
- 前庭感覚
が主たる要素と考えられています。
健常な成人男性では、視覚10%、前庭感覚20%、体性感覚70%の重みづけで身体図式が生成されているそうです。
動作を行った結果、Feedbackされる感覚が、瞬間瞬間に入力。
そして身体図式は変化するという特徴があります。
特に重要なのが、「身体部位の相互間の位置関係を定める」ことが運動を行うために必要になってきます。
身体図式を生成する目的
身体図式を生成する目的は一体何なのでしょうか。
それは
自動的に随意運動/姿勢制御を行うためであると考えられます。
なぜなら自分が今どんな状態にあって、目的とする動作を遂行するためには、どんな筋肉、どんなモーメントで関節運動を起こして目的とする動作を遂行するのか、基準がなければ運動は行えないですよね。
その基準は、時々刻々と変化していくものです。なぜなら動作を行った結果、姿勢は変化し、それに感覚情報が必ずFeed backとしてかえってくるから、です。
その感覚は、大脳にのぼる感覚だけではなく、脊髄-小脳レベルにおける固有感覚情報も重要になると考えられています。
まとめ
脳卒中後に運動麻痺や感覚障害を呈することで、運動が適切に行えない結果として感覚情報の欠如が起こってきます。
それだけではなく、高次脳機能障害や視覚・聴覚障害に伴う空間の認識、認知機能の低下などなど多くの問題が合わさり、さらに運動や姿勢制御を行うことが難しくなってしまう可能性があります。
その際に、考えて欲しいのが今回の身体図式についてです。
私たちの体がリアルタイムにどうなっているのか、脳は常に時々刻々と最大限認識しようと努力しているはずです。
まずは、身体図式を目的とする動作や自分の置かれている環境に適応できる様な形で生成できる様、介入していくことはとても重要なのではないでしょうか。
また、よく間違えるのですが、身体イメージと身体図式は異なるものです。
また別の記事で紹介しようと思っていますので、またご参照いただけますと幸いです。
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