こんにちは、ぱらゴリです!
今回は歩行の歩き始めに働く脳部位について解説していきます!
これを知っておくことで、歩き始めに足がなかなか出せない方の原因を考察する一助になります!
「歩きますよ」
臨床の中でこのように声かけてしまっていませんか?
これでは大脳皮質に脳血管障害が起こってしまった方に、「足がでない」「歩いてくれない」「意欲が乏しい」とレッテルを貼ってしまうリスクがあります。
今回解説する脳機能の部位について理解しておくことで、このようなリスクを避けられるかもしれません。
もちろん歩容を見ること、重心移動のメカニズム、歩き始めのメカニズムを知っておくことは前提条件として必要になります。
ただ、脳血管障害では「脳が損傷」しているので、「脳のメカニズム」の一部が破綻している可能性もあるという視点が重要になってきます。
「目的のない歩行」では、練習のための歩行になってしまい次につながってこないかもしれません。
よくある歩行練習の失敗例
実際に自分が多くやってしまっていた失敗を共有します。
いきなり長下肢装具を装着して、急に介助で立ち上がり、有無を言わさず重心移動を作り出し、歩行練習を行う…。
これの何がまずいのかって、「本人の意思が伴っていない」ことです。
この時に自分の頭の中では、正義があったんですね。
「発症24時間以内に開始する早期リハビリは3ヶ月後のBarthel Indexスコア、入院期間の短縮に有効である」
Li Z, Zhang X, Wang K, Wen J. Effects of Early Mobilization after Acute Stroke: A Meta-Analysis of Randomized Control Trials. J Stroke Cerebrovasc Dis. 2018 May;27(5):1326-1337.
脳卒中後片麻痒で膝伸展筋筋力もしくは股関節周囲筋筋力が十分でない患者に対して、歩行 機能を訓練するために長下肢装具を使用することは妥当である
脳卒中治療ガイドライン2021より (推奨度B 工ビデンスレベル 低)
十分なリスク管理のもとに、早期座位・立位、装具を用いた早期歩行訓練、摂食・嚥下訓練、セルフケア訓練などを含んだ積極的なリハビリテーションを、発症後できるだけ早期から行うことが勧められる
脳卒中治療ガイドライン2021より(推奨度A 工ビデンスレベル中)。
こういったガイドラインやシステマティックレビューを元に、
「早期離床は大事」→「抗重力動作で筋肉の収縮を促すことが大切」→「装具を使わないと膝折れしてしまう」→「装具をつけて歩行訓練をバイタル管理しながらどんどんやろう!」
という思考でした。
全てが間違いではないと思っていますが、ここでの主役が「リハビリ職」である私だったことが問題だったと思っています。
長下肢装具の特性だけを理解して、脳機能に関して無知であったことも問題でした。
歩行開始時の脳活動
歩行開始のための神経経路が働くためには、上位中枢からの出力と末梢からの感覚入力の両方が伴う必要があります。
その時の上位中枢からの出力は一体どこから出力されるのでしょうか?
自発的な歩行運動の発現・終了には補足運動野
歩行に伴う姿勢保持のためには運動前野
が大切になってきます。
また
サルの実験では、一次運動野の下肢領域を不活性化しても大きな歩行障害・姿勢障害は見られなかったが、補足運動野の下肢・体幹領域を不活性化すると下肢関節の屈曲・前傾姿勢・姿勢動揺が出現して「歩行困難」となった。(森大志 他.2010)
といった報告もあります。
ただこれは、
歩行の開始時に大切なことは?
何度も出てきていますが
「歩きたい!」→「なぜ歩きたいの?」→「あそこにあるものをとりに行きたいから!」「トイレにさっと行きたいから!」「狭いから歩かないとあそこまで行けないから!」
といった様に意思と「歩行を選択する目的と意味」が重要になってきます。
例えば長下肢装具なら、
あくまでも歩行は選択肢の一つになります。
また長下肢装具に関しても目的を明確にして用いる必要があるんです。
歩行様動作を繰り返すことによって筋活動が得られることはわかってきています。ただ、廃用予防には有効かもしれませんが、なかなか長下肢装具から次の練習に移行できないといったケースはありませんか?
私たちの方にもなぜ歩行を選択したのか?
これが重要になってきます。
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