【歩行】新人理学療法士必見!歩き始めの神経経路の仕組みについて!

歩行

こんにちは、ぱらゴリです!

今回は歩行の歩き始めの神経システムについて解説していきます!

 

 

脳卒中後のリハビリを担当されている方なら一度は誰し「なぜ歩けなくなってしまうのだろう?」と考えると思います。

おそらく多くの方が思っているのでしょう。Instagramでも多くの方に共感をいただいています。

実際に、脳卒中後に歩行に問題が起こってくる方が多くいらっしゃいます。

特に歩き始めようとするとふらついてしまったり、一歩が出せないことで悩まれているといった方もいらっしゃるのではないでしょうか?

全ての動作は姿勢の連続であるとされています。

もし歩き始めの時に、一歩出そうとする時に立位がうまく取れない、支持側(支える足側)に体重がうまく移動できない、お尻が引けてしまう(Sway)などの現象が起こってくることも少なくありません。

終わりよければ全てよし!とよく言いますが、動作においては動き始めがもっとも大事であると考えています。

歩行を見ていく中、練習していく中で、必ず「歩き始めの仕組み」を知っておくことが求められます。なぜなら、仕組みを知らないと「なぜ歩き始めができないのか」について理解できず、どうしたら良いのか分からないからです。

 

 

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歩行における神経系の概要

実は歩行というのは、とても複雑な仕組みの上に成り立っているものと考えられています。

話しながら歩ける、スマホを使いながらも歩ける、人を避けて歩ける、段差につまずかないといった歩行を実現するためには、

歩行の神経システムの基盤
  • 大脳皮質(運動の決定、身体の図式や行動計画、運動の発現)
  • 大脳基底核(運動の開始や筋緊張のコントロール)
  • 小脳(運動のコントロール)
  • 大脳辺縁系(情動)
  • 脳幹(筋緊張コントロールの中枢、脳神経の中枢)
  • 脊髄
  • 筋肉
  • 骨格

と実にこれだけの要素が関わってくるとされています。

この何処かにエラーが起こると他の場所に影響が及ぼされることが分かりますよね。

まず考えるべきことは、脳や脊髄のどこに問題が起こり、歩行という動作にエラーが起こっているのか?です。

その時に脳画像の知識や各脳領域の知識は必須になってくるというわけですね。

【脳機能】脳画像の種類と見方
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歩き始めに必要な神経経路の知識

まず初めに歩き始めの神経システムについての前に、知っておくべき神経経路の知識についてざっくりと解説していきます。

歩行の神経経路
  • 外側皮質脊髄路(足を出す運動の発現
  • 皮質橋網様体脊髄路(支持側股関節・体幹を中心に筋緊張を高める)
  • 皮質延髄網様体脊髄路(遊脚側下肢の筋緊張の抑制)
  • 前庭脊髄路(重心移動時の下肢の筋緊張をさらに高める)

といった経路の知識が必須になってきます。

経路について詳しくない方はこちらの記事を読むことで理解が深まります!
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歩き始めの流れについて解説

ここからは実際にどのように歩き始めの時に神経システムが何を目的に働いているのかについて解説していきたいと思います!

一連の流れをしっかりと把握して、脳画像や所見からどの経路の働きに問題が起こっているのかについて知ることができれば、歩きはじめや歩行中のどの部分に問題が起こるのか、推測するための一助になりますよ!

歩き始めるための準備

まず準備が大切ですよね。

その時に働くのが、先行して姿勢を調整してくれる「皮質橋網様体脊髄路」であると考えられます!

この皮質橋網様体脊髄路が何をしているのか…

それは

一歩(ここでは右足)を出すために一度右足の支持性を高める
とされています。
右足を出すのに右の支持性を高める!?
と頭に???が浮かんだ方は大正解です!

実はいきなり支持側に重心が移動することって難しいんですね。私たちは常に重力の影響を受けて床反力というものが働いています。

押した分だけ押し返されるというものでしたよね。

つまり、いきなり支持側になる左側の支持性を高めると、左側に重心移動するということになりますが、その時には床から移動するのと同じだけの力が、押し戻すように働いてしまうので重心移動するのが困難となります。

一時的に、支持側の支持性を高めて床反力を生成することで、左側に地面から押し返してもらって重心移動をする必要があるわけなんですね!

歩き始めるために支持側の支持性をさらに高める

一度右に傾いた重心が支持側となる左足に移動した後です。

次に起こってくるのが、重心の移動、すなわち頭部の位置の変化や下肢からの感覚入力量の増加です。

頭部が偏位すると「前庭系」から感覚が入力されます。

つまり、左側へ体が傾いたぞ!移動したぞ!って情報が入ってくるわけですね。そこに加えて左足に重心が移動したことで、先ほどよりも足底や筋からの感覚入力の量が増えると考えられます。

そこで働くのが、「前庭脊髄システム」と「橋網様体脊髄システム」です。どちらも皮質を介さないという点が共通する部分になります。

つまり末梢から脊髄または前庭神経核→小脳→網様体または前庭神経核→脊髄→筋・骨格へと強い伸展活動を作り出すものになります。

ただこの時にはまだ両足がついている状態で、完全には遊脚側の右の支持は抜けていません。

足を出すための体のローテーション

次に起こるのが、遊脚側のローテーションです。

これは、支持側となる下肢からの固有感覚情報が多く入力されたことで

「よし、俺の体幹はもう支持するために頑張らんでええぞ!」といった形で筋緊張を緩めるように前庭脊髄システムが働きかけるとされています。

足を出すための筋緊張の抑制

次は下肢に筋緊張のさらなる(選択的な)抑制が起こってきます。

体幹のローテーションが起こったのちに、今度は外側皮質脊髄路が足の振り出しを作っていくために働くちょっと前に、「外側延髄網様体脊髄(背側網様体システム)」が働き、下肢を外側皮質脊髄路からの指令が筋肉に伝わって、イメージ通りの運動が行えるように筋緊張を抑制するといった形で調整してくれます。

足を出すための運動指令と分離運動

最後になります。

選択的に筋緊張が抑制されたところに、「外側皮質脊髄路」による随意運動の指令が右足を支配する脊髄髄節に伝わり、下肢の運動が起こることで足が振り出せるというわけですね!

この時に特に背屈運動に関しては外側皮質脊髄路によって強く調整されているようで、主に下肢は支持したところからの分離運動なのでどうしても筋緊張を抑制するだけでは、背屈運動を引き出すことはできません。

そこで、外側皮質脊髄路による足関節の背屈筋に対する運動指令が出されることで、分離運動として足首が背屈することできると考えられます。

まとめ

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