連合線維の代表「上縦束」
みなさんこんにちは。ぱらゴリです!
脳の中でも機能局在があるのは、ご存知ですよね。
ですが脳は、ある一つの部位だけで働いているわけではありません。ある部位とある部位が繋がって初めて処理した情報に意味が出てくるんです。
点と点がつながると初めてわかった!と私たちも感じると思います。そういったことが脳内で起こっているんだよというイメージを持っていただければと思います。
その中でも、連合線維の有名どころである
神経線維の種類
とはいえまずは、神経線維の種類を大きく知っておくことからです。
国家試験に結構出るのですが、臨床に出ると少し記憶から薄れてきてしまう知識です。ですが脳内のネットワークを考える上で横、縦、同側・対側といった形で3Dで捉えることが重要です。
ですのでしっかりと記憶の片隅にでも留めておきましょう!
- 交連線維:左右の大脳皮質の領域間を結ぶ神経線維
- 連合線維:同側の大脳皮質において異なる領域間を結ぶ神経線維
- 投射線維:大脳皮質と間脳・脳幹・小脳・脊髄を結ぶ神経線維
なんとなく記憶の奥の方から出てきたのではないでしょうか!?
例えば、被殻出血で運動麻痺、感覚障害、失語症(投射線維)、半側空間無視(連合線維)が出現したとします。一概に被殻出血といっても、複数の神経線維を同時に損傷してしまうケースもあります。
その際に、皮質脊髄路や視床皮質路だけみていたら、半側空間無視がなぜ出ているのか、それは時間経過でどうなっていくのかを予測することができませんよね。
ですので脳は3Dに捉えることが重要で、そのためにとっても重要な知識だということです。
上縦束という連合線維
今回のテーマである、上縦束という線維についてです。(下縦束も存在しますが今回は上縦束)
これは、同側の大脳半球内を連絡する連合線維です。
特徴として、島の上を前後方向に走行し、前頭葉と頭頂葉及び側頭葉を連絡する線維といわれています。
SLF(Superior Iongitudinal fasciculus)と略されることが多いので覚えておきましょう!
SLFには①から③まであるといわれています(④までという書籍もありますがここでは③で考えていきます)
この上縦束が損傷すると現れる代表的な症状が半側空間無視(USN)です。
被殻出血で外側伸展型の広がりを起こすと半側空間無視が出現するのはこのSLFの特に②が損傷している可能性も考慮しましょう!
その際に
- 血腫がどっちに伸展しているか
- 出血量はどれくらいか
- 運動麻痺や感覚障害は軽度or中等度or重度
- 言語機能はどうか
などをみておきましょう。血腫が吸収された際に圧迫が解放され改善する可能性がある症状がどれなのかを予測することで、どのような予後を辿っていくのかを可能な限りで推測(断定はできません)します。
上縦束の役割
では、最後上縦束の役割についてみていきましょう!
こちらのスライドにまとめてみました。
- SLF1:上頭頂小葉(5,7野)と背側運動前野、補足運動野(6野)を連絡。
- SLF2:下頭頂小葉(39,40野)と前頭皮質前皮質外側部、補足運動野(6野)を連絡。
- SLF3:縁上回と腹側運動前野、前頭前野背外側部、前頭前皮質、弁蓋部を連絡。
SLF1は身体部位の位置を認識して、運動制御に貢献します。この身体部位の位置は、身体図式と考えられます。この身体図式の情報が運動プログラムを作る時に使われますが、それはSLF1が伝達する役割を持っているということです。
SLF2が半側空間無視と関係するのは、空間感覚と視覚眼球運動に関与することから想定がつくかと思います。
最後SLF3は運動の模倣にとって重要なミラー神経を含み、言語やジェスチャーの構成要素になると考えられているようです。このSLF3の一部に、弓状束が含まれます。
弓状束は、上側頭回尾側部と前頭前皮質背外側部などを連絡すると考えられており、弓状束が損傷するとウェルニッケ野とブローカ野の連絡がうまくいかず伝導性失語を生じると考えられています。
半側空間無視の原理
左半側空間無視は重度になりやすい、という話を聞いたことありますよね?
この原理についてです。
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