【歩行】長下肢装具を使った歩行介助方法

歩行

 

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こんにちは、ぱらゴリです。
みなさん臨床で「長下肢装具(KAFO)」って使いますか?

最近はやりですよね、特に後方介助歩行が!

ところで、

  1. どんな人に使うの?
  2. なぜ使うの?
  3. 効果は?
  4. どうやって使うの?

と聞かれて答えれますか?

先輩や上司がとりあえず使っているから、自分も使ってみよう・・・!

勉強会や教科書でいい!って書いてあるから使ってみよう!

なんてことになってないですよね・・・?

  • CPGを賦活したいから
  • 膝が折れるから
  • 歩行訓練ができるから

半分正解半分間違いです!

今回は

脳血管疾患における長下肢装具の使い方
について解説していきます!
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長下肢装具とは?

まず長下肢装具って何?

を知らなければ話が始まりません。

大腿部から足部までを覆う形状をしていて、膝ー足関節の関節運動自由度を制限することでコントロールを実現する。

変形予防や矯正、免荷を行う役割があります。

以前まではLLB(Long Leg Brace)と表現されていましたが、

最近では、KAFO(Knee Ankle Foot Orthosis)と習うことがほとんどです。

言葉の通り膝ー足首ー足の変形や矯正を行うことを目的につかわれることが、以前まではほとんどでした。

脳卒中ガイドラインにおいても、装具を使った訓練は推奨グレードAで以下のような記載があります。

「発症後早期から積極的なリハビリテーションを行う事が強く勧められる。その内容には,早期座位・立位,装具を用いた早期歩行トレーニングなどが含まれる。」

脳卒中ガイドライン改訂2019

しかしながら学生時代、積極的に「装具療法」を習う人はあまりいません。

そしてその中でも「長下肢装具」なんて特にサラッと通り過ぎてしまうことがほとんどです。

逆に「下肢装具」については、国試でも出てくるほどに普及している印象です。

その中でも両側金属支柱は「痙縮の強い人用」、プラスチックAFOは「下垂足や軽度片麻痺の人用」といったイメージを自分は持っていました。

設定についても学びましたが、あまり実践的な内容ではなかった気がします。

背屈の角度をフリーにするなんて発想はなかったですね…。

適応や効果についてしっかり学んだことのある方は少ないのではないでしょうか?

そんな中で突然臨床場面で先輩方に、

この人には長下肢装具を使うべきじゃない?

とアドバイスされて使うわけです。

当然使えるわけないですし、でも使えって言ってるし…って状況になりますよね…。

長下肢装具ってどんな人に使うの?(適応)

では、長下肢装具ってどんな人に使うのがいいのでしょうか?

ここでは、「脳血管障害」による「運動麻痺」や「感覚障害」の方で、一体どんな問題が出ている方に長下肢装具を使ったらいいの?という内容を説明していきます。

ズバリこんな人!

  • 座位保持ができない方
  • 座位や立位を取ると麻痺側股・膝関節が屈曲してきてしまう方
  • 手すりやセラピストに過剰につかまってしまう方
  • 歩行中に股関節伸展が出ない方
  • 麻痺側下肢に荷重がかからない方

などなど…、適応は本当にたくさんの方に対して有効だと思います。

しかし、全員につければ良いわけではなく

麻痺側下肢が原因で非麻痺側がうまく使えない方

麻痺側下肢の支持性が原因で、歩行ができない方

に対して最も有効なのではないか?と思っています。

長下肢装具ってなんで使うの?(目的)

さて長下肢装具の適応について説明してきましたが、皆さん疑問に思ったでしょうか。なぜ上記の症状が出ている方に対してあえて、「長下肢装具」なのか。

長下肢装具をなんで使うのか?について説明していきます。

長下肢装具を使う目的とは!?

  1. 物理的な安定性を担保する
  2. 姿勢の崩れが抑えられることで、アライメントが適切な状態になる
  3. 座位が取れない人でも、立位・歩行訓練ができる
  4. 床反力がとらえられる(魔法の杖現象)

ことです。

装具がそんな役割があるの?と思った方もいらっしゃると思います。

次は、装具を使うことによって得られる効果について説明していきます。

長下肢装具使うとどんな意味があるの?(効果)

長下肢装具を使うことによってどんな現象に対して、どんな効果があるのかを説明していきますね!

物理的な安定性

麻痺側が装具によって固定されることにより荷重量を増やすことができ、

安定性を担保した中で動作が行える可能性があります。

アライメントの修正

非麻痺側での代償や麻痺側への姿勢の崩れが補正され、非麻痺側の股関節を中心に本来の運動・姿勢制御を行えるようになる可能性があります。

早期立位・歩行訓練

運動麻痺があっても、立位・歩行訓練を早期から行えるメリットがあります。

結果として廃用予防や麻痺側下肢を使用したバランス戦略動作を学習でき、そして不使用の学習を防ぐことが期待されます。

床反力をうまく使える

床反力が下肢や体幹に伝わることで、反力に抗うように筋活動が出現し、重度な麻痺であっても筋活動が得られるチャンスができる!というわけです。

長下肢装具ってどうやって使うの?(方法)

では最後に長下肢装具ってどうやって使うのでしょうか?

ゴリラなりの使い方について説明していきます。

  • 立位訓練
  • 歩行訓練

の2本立てです!

長下肢装具を使った立位訓練

まずは立位訓練です。

皆さん体幹や膝が伸びない方に対して、「膝を伸ばしてください!」「体を起こしてください!」なんて言ってないですよね・・・?

おそらく伸ばしてといえば伸ばせる方が多いと思います。

しかしそれが、「動作」になると途端に体幹が崩れたり、膝折れしたりという経験ありませんか?

静的な姿勢保持は、「膝を伸ばそう!」と思えばできるのかもしれませんが、動作は随意的だけではないですよね。

関節は動いて、重心も移動します。それに伴って必要な筋活動も変化するんです。私たちはずっと「膝を伸ばしておこう!」なんて考えていないはず。

オートマチックに膝が伸びることや体幹が起こせる機能が必要になるわけです!

※※※※体幹と骨盤についての記事準備中※※※※

つまり随意的に膝を伸ばす練習をするのではなく「勝手に膝が伸びる」練習をすることが好ましいのではないでしょうか。

その時には膝が大事なのではなく股関節足部の機能が特に重要になってきます。

そして脳血管疾患の方は「麻痺側下肢の支持性が低下していて麻痺側下肢で体を支えることができない」のは知っていると思います。

そんな時に活躍するのが「長下肢装具」なんですね。

膝を固定することで、下肢の「関節自由度」を制限することで股関節と足部の相対的な位置関係のコントロールだけが求められるようになります。

つまり「課題難易度が下がる」のです。

もっと噛み砕くと「立位が簡単に取りやすくなる」というわけなんですね。

こういった形で関節自由度が制限されることで股関節と足部のコントロールがしやすくなることがわかると思います。

アライメントを整えた結果、床反力足ー膝ー股関節ー体幹にかけて伝わることで、体幹や股関節を中心に抗重力筋は活動しやすくなると考えられます。

こちらを読むと理解が深まりますよ
【姿勢制御】脊髄小脳路とは?姿勢制御に必須の知識!
臨床において感覚入力がとても大事とよく言われませんか? 感覚といっても体性感覚・・・表在、深部感覚固有感覚・・・筋紡錘、腱紡錘、関節内圧、皮膚伸張など内臓感覚などどのことをいっているの?今回は『固有感覚』の入力経路である【脊髄小脳路】が重要な役割をもっています!

つまり、

  • 関節自由度を制限することで課題難易度が下がる
  • 外から支えることで、下肢と体幹のアライメントが整う
  • 床反力が伝わることで、抗重力伸展活動が行いやすくなる

というメリットがあります。

そういった中で立位訓練を行った方が、筋活動や正しい姿勢制御は獲得できる可能性がある、というわけですね。

長下肢装具を使った歩行訓練

では次に歩行訓練における長下肢装具の使い方です!

アライメントが整うことで、床反力が伝わり抗重力伸展活動が行いやすくなると説明しました。

では歩行訓練においては、長下肢装具を使うメリットは?

それは、

  • 麻痺が重度でも高い筋活動が得られる可能性がある
  • 歩行CPGの賦活につながる可能性がある
  • 皮質脊髄路の興奮性が増大する可能性がある

ということです。

他にもあると思いますが自分は特にこの3つを狙ってやっています。

上記についてはこちらをご覧ください!
【脳機能】CPGについて
CPGは、「感覚入力や上位中枢からの神経指令なしに周期的な運動パターンを生成する神経回路網」と定義されます。呼吸や心臓などが代表的ですよね。しかし、歩行においては感覚情報が重要な役割を果たす可能性が明らかにされています。わかりやすくCPGについて解説していきます!
大体の場合は、自力では体幹の保持もできず、下肢振り出しも困難、もしかすると意識レベルも清明ではないかもしません。
そんな時には訓練がなかなか進みませんよね…。
しかし長下肢装具を使用した「後方介助歩行」であれば可能なんです。
ゴリラが気をつけている、後方介助歩行のコツですが…(需要あるのか??笑
※装具はしっかりと調整されていることが前提です。
  1. しっかり密着して
  2. 自分の骨盤で相手の骨盤を支えて
  3. 後方重心にならないように
  4. 自分が上手に歩く

です!

その時に特にポイントなのが、

麻痺側立脚初期に骨盤後退ー後傾することが多いため、骨盤をしっかりと自分の骨盤で支えること!

立脚中期に麻痺側下肢に荷重を乗せようとするがあまり、外側に流れていってしまわないように!歩行中に足底上に重心が乗ることはありませんよ!

立脚後期には、股関節を伸展させるために股関節の前に手や前腕を当てて安定性を与えることと体幹を起こすこと!

遊脚前期に麻痺側骨盤が下制しやすいため、腹部をねじるように引きあげ、腹斜筋の収縮を助けてあげましょう!クリアランスが担保されるようになる場合が多いです!

これらがゴリラの歩行介助のコツです!

自分にとって一番良い立ち回り方を、相手の動きに合わせてとれるように練習しましょう!

まとめ

まずは、健常者と練習することをお勧めします!

健常者が歩きにくい!と思うような介助であれば、患者さんはきっともっと歩きにくいでしょうし、間違った運動学習をしてしまう可能性が高いです。

歩行介助に関しては、コツと練習が大事だと思っています!

一生懸命練習して、患者さんの持つポテンシャル(潜在能力)を引き出すことできっと良い結果につながると思います!

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