【姿勢制御】なぜ抗重力位で練習する必要があるの?

姿勢制御

姿勢ってなんなのでしょうか?

 

こんにちは、ぱらゴリです。

みなさんがよく使う言葉の姿勢って一体何をもって姿勢と表現しているのでしょうか?

と、ふと思いましたので、姿勢について考えていきたいと思います。

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姿勢とは何か

日常的に、姿勢がよいとか、姿勢が悪いとか、姿勢が安定している、不安定だなどのように、ごく自然に姿勢という言葉を使っていると思います。

姿勢を正しましょう、というとシャキッとして目の前の物事に真剣に向き合うとか、だらしない姿勢となるとやる気がないな、と私たちは姿勢と心がつながっているように感じます。

ところで、なぜ姿勢が悪いといけないのでしょうか?

筋肉に変な緊張が伝わって不適切な緊張になった結果、筋が短縮したり、内臓を圧迫したり、場合によっては痛みにつながることもあるかもしれません。

つまり、安定した姿勢、例えば立位姿勢であったり、座位姿勢を保つことは、「普通」の日常生活を送るための大前提となる条件とも考えられます。

そして、ここで大事なのは、「姿勢とは動かず静止している人間の体幹の形状である」ということです。

動くと四肢の位置が変わるので「肢位が変わった」と表現されます。

そして、また止まると姿勢と表現して、運動にうつる直前の姿勢は「構えている」と表現し、よくいう姿勢とは少し異なる表現に変化します。

姿勢の種類

しかし今までのは、「よく一般的に使う姿勢」についての話ですね。

学術的な姿勢の定義に関しては、未ださまざまな見解があります。

私たちが習ってきたのは、おそらく姿勢(Posture)は、

身体各部の位置関係や全身の形を表すのに用いられ、「構え」と「体位」に分けられる

構え

構えとは、
頭部・体幹・上肢・下肢の相対的な位置関係を示しているもの
と言われています。

体位

体位とは、

身体の基本面が重力方向に対してどのような関係にあるかを表し、

立位・座位・背臥位・側臥位などの用語で表されるものになります。

基本的な部分ですが、ここは押さえておきたいところですね。

姿勢と制御について

人間の身体は、かなり不安定な構造物です。

なぜなら各関節は接地面積は狭く、立位では支持基底面が足部にあり重心はとても高いためです。

図で見てみましょう。脊柱であれば前弯後弯前弯後弯しています。そして、前面に胸郭がついて、下には骨盤なんて物があるんですね。

人間が2足直立で立つためにはこの生理的な彎曲や、骨盤が起きた状態で直立位をとっていることが大事だという先生もいるくらいですから、大事なんだと思います。

それを実現しているのが、腸腰筋だったりするわけですよね。また、多裂筋や腹横筋、横隔膜、骨盤底筋と言ったコアユニットだったりとかがうち側から腹圧なるもので支えてくれているわけです。

関節面が丸いということは、不安定じゃないですか…?

だから股関節とか膝関節周囲って筋や靭帯が豊富にあるのかなあと思っています。

また内側制御系の話であれば、橋網様体脊髄路が股関節近位部や体幹筋の特に抗重力伸展筋を制御するんですね。

橋網様体脊髄路についてのざっくりとした知識はこちらから
【姿勢制御】皮質橋網様体脊髄路とは?
「皮質橋網様体脊髄路」って聞いたことありますよね。 姿勢制御、重心移動、抗重力伸展活動などなど、セミナーや教科書には難しい言葉だらけです。 そこで今回のテーマは 皮質橋網様体脊髄路とは? について説明していきたいと思います。

重心がグラグラした方が前に進むんですよ。でもグラグラなだけじゃ困っちゃいますよね.

だから姿勢を制御するんです。人間でいろんな力にさらされながらもそれをうまく活用して時に制御しながら行動をしているってことを忘れないようにしなければならないです。

ここで重力と姿勢制御の関係性についての話になってきます。

人間は、重力の中で常に生活しているんですね。

そのためにはアライメントを筋肉を用いて、調整する必要があります。そして、その筋肉を動かしているのが中枢神経系ですね。

立位保持できる理由は?

私たちはなぜ立っていられるのでしょうか。

立てるんだから、そういうものといわれてしまえばそれまでなのですが…笑

普通に考えてみてください。ただ重力がかかっているだけなら、床にどんどん9.8m/s×自分の体重から出したニュートンずつ埋まっていっちゃいます。

床に対して踏みつけると踏みつけた分だけ返ってくるから、床に向かう力と返ってくる力,床反力が釣り合うことでジャンプとかせずにその場に真っ直ぐ止まってられるんです。

だからまっすく立つために必要な条件ってこの3つになるんですね。

つまり姿勢をみるにあたって筋肉や骨だけの理解では圧倒的に不十分です。

なぜなら姿勢を作り出すのは、筋肉ですがその筋肉をコントロールしているのは神経系の働きだから、ということです。

抗重力伸展活動って一体どうすることなのか?

簡単に言いますと抗重力伸展活動とは、

座位や立位などの姿勢を取る時に常に体にかかっている重力に負けないだけ強く伸び上がることです。そのためには、床半力も重要と先ほどお話しさせていただきました。

そして、筋膜や関節構造も大事、アライメントや力を発揮しやすい筋配列も大事だということですね。

これが無意識下で行えるんです。それは筋緊張というものが大事な役割を担っているんです。重力に対して人は常に筋肉は緊張状態を保っているんです。

ではその筋緊張を調整しているのは、一体なんなのでしょうか?

それが網様体脊髄路や前庭脊髄路、視蓋脊髄路や青斑核脊髄路…などの錐体外路と呼ばれるものたちですね。

錐体外路についてのざっくりとした知識はこちらから
【脳機能】ざっくりとした錐体外路の種類と役割
錐体外路と呼ばれる神経系のざっくりとした経路の知識! イラストともに解説しています。難しい神経系の知識もこれを見れば少し好きになれるかも?

結局、姿勢制御って一体なんのために行うの?

重力が体を通る線の上に重心という物体の重さの中心が保持できていれば筋力も要らずに立ってられるんですが、そうはいきません。

やはり動くのでいろんな外力がかかってきます。この外力に対して、重心線の上に重心を保持すために筋緊張や筋膜などの張力や筋力、床半力を使うんです。

これは無意識でコントロールされているものなのです。随意運動つまり、体を起こして!というしじで伸び上がる時とはシステムが異なるんです。

臨床において脳卒中や姿勢の悪い方に対して、体を起こしてと言ってませんか?それでいい場合ももちろんありますが、脳損傷により姿勢制御しすてむが破綻したかたは、

体を無意識にコントロールするのが難しくなりますし、もちろん随意運動も障害されてしまうので体を起こすことはできません。

ではどうしたら良いのか、

正しく重力を扱えるように、姿勢アライメントや筋アライメントを介助したら勝手に働きやすくなるんです。もちろんその限りではありません、脊髄損傷だったりしてしまうとまた少し話は変わってきますが・・・。

ただほとんどの脳卒中の方は脊髄小脳システム大脳皮質を介さない網様体システムは残存した方が多いと思います。そこをうまく活用するためには、正しいアライメントを理解し、筋配列を理解し、その前に重力や床半力が立位であれば股関節の前後を通るような姿勢をとってもらうんです。

そのためにハンドリングでもいいですし、KAFO、電気刺激療法を用いる戦略ももちろん良いと思います。

なんとなく訓練されている方がいらっしゃいましたら、今回の重力や床半力、姿勢制御の考え方などを今一度学習していただき、基礎にもとづいた応用をしていっていただけるきっかけになりましたら幸いです。

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