こんにちは、ぱらゴリです。
私は理学療法士として急性期〜慢性期までの全ての期間で
脳卒中リハビリテーションをしております。
基底核と脳幹には密接な関係がありますが、みなさんは説明できますか?
脳出血では「被殻出血」が一番多く、
レンズ核線条体動脈の微小血管が詰まる「ラクナ梗塞」は、アテローム血栓性脳梗塞にならんで全年齢において多いといわれています。
では、大脳基底核は脳幹とどのような関係があるのでしょうか。
そこで今回は、
基底核ー脳幹系の種類
基底核-脳幹系は3つの経路があり、
・歩行運動系
・筋緊張促通系
・筋緊張抑制系
です。
知っていましたか?
基底核ー脳幹系の経路
ではどの様な経路を辿るのでしょうか。
この経路を介し、
基底核ー脳幹系は歩行や筋緊張調整を行なっていることになります。
中脳歩行誘発野(MLR)
中脳歩行誘発野(MLR)は名前の通り、歩行に関与します。
具体的には「歩行リズムの生成」と「筋緊張の促通」に関与していると考えられています。
MLRを刺激すると除脳ネコのヒラメ筋の運動細胞にスパイクが発射し、リズミカルな発射運動をしたという研究結果があります。足は動いていませんが、リズミカルに運動細胞が活動したことから、これをFictive locomotion(架空の歩行)といいます。
また除脳ネコをトレッドミルに乗せ、MLRに電気信号を加えたところ、前肢の上腕三頭筋、後肢のヒラメ筋の筋活動が向上し特に後肢のヒラメ筋の筋活動が向上して、トレッドミル上をリズミカルに歩行を始めたのです。
これが歩行CPGの根拠となる部分ですね。
青斑核(LC)
青斑核(LC)は「筋緊張の促通」に関与していると考えられています。
除脳ネコの青斑核に電気信号を加えると、ヒラメ筋の持続した筋活動がみられたそうです。
橋脚被蓋核(PPN)
橋脚被蓋核(PPN)は「筋緊張の抑制」と「歩行リズムの抑制」に関与していると考えられています。
今度は除脳ネコのPPNを刺激すると、筋緊張が消失し歩行が呈したそうです。ちなみにMLRの腹側部にPPNの歩行停止領域が存在しています。
黒質網様部(SNr)
大脳基底核はどの様に歩行運動生成系、筋緊張促通系、筋緊張抑制系に出力し歩行と筋緊張活動をコントロールしているのでしょうか。
そこで最後に重要なのが、
黒質網様部(SNr)になります。
SNrへの刺激が、歩行誘発野(MLR)から始まる歩行や、脚橋被蓋核(PPN)による筋緊張の変化に関与している可能性があります。
歩行では、SNrへ電気信号を加えるとゆっくりとした歩行が行われ、
刺激を強くすると歩行速度はさらに減少し歩行リズムが乱れ、歩行自体の始まりも遅延するそうです。
この図の説明をこの先していきます!
すなわち、
- 歩行の開始
- リズム
- 速さ
基底核ー脳幹系がコントロールしていることが分かります。
すなわち、筋緊張抑制系の活動を基底核ー脳幹系がコントロールしていることが分かります。
このことは、
大脳基底核からの出力が増えると筋緊張は低下しなくなることを意味します。
この効果を持つ部位は黒質網様部の外側部にあり、歩行をコントロールする領域と異なり、
黒質網様部(SNr)の中央部は歩行・筋緊張コントロールともに関与します。
では大脳基底核は歩行をどの様にコントロールしているのでしょうか。
中脳歩行誘発野(MLR)に刺激を加えて、
- Fictive locomotion出現したのちに、
- 黒質網様部(SNr)に刺激を加え、
- Fictive locomotionの変化を観察した
黒質網様部(SNr)に刺激を加えると屈筋・伸筋の両方の運動細胞の活動においてリズムが停止しました。
しかし黒質網様部(SNr)への刺激を止めると再びリズム生成がみられたのです。
大脳基底核からの出力は、伸筋・屈筋の筋緊張が増加することで歩行リズムを止めます。
つまり伸筋・屈筋の同時収縮により関節が固定され、結果的に歩行が止まるのかもしれません。
大脳基底核からの出力は、歩行時の関節の硬さをコントロールする可能性があります。
つまり大脳基底核が損傷すると異常歩行パターンでよく見られるStiff knee patternの原因の一つといえるのではないでしょうか。
では基底核はどうやって筋緊張促通系と抑制系をコントロールしているのでしょうか。
筋緊張促通系と抑制系を働かせた状態から、
黒質網様部(SNr)に刺激を加え、筋緊張がどのように変化するか。
青斑核の働きは促通され、PPNの働きは抑制されました。
このことから、大脳基底核の黒質網様部からの出力は、
- 筋緊張促通系の興奮性を高め、
- 抑制系を抑制すること
で結果的に筋緊張を増加させる働きがあると考えられます。
すなわち、基底核への出力が低下すれば、筋緊張を抑制する働きが強くなるといえますね。
まとめ
被殻出血後に弛緩性麻痺を呈する方や歩行障害を症状として現れる場合があります。
その現象を説明するためには、少なくともこの知識を知った上での関わりが必要になります。
なぜそうなってしまうのだろうか、という思考を持ち続けておかなければ関わり方がどんな方に対しても同一の訓練や接し方になってしまうのではないでしょうか?
難しい内容になりますので、何度も読み返していただき「高草木薫 基底核」でWeb検索していただければ原著が出てきますので是非そちらも拝読していただき理解を深めてみてくださいね!
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